文明のターンテーブルと覇権国家の役割

2010年7月17日の記述。覇権安定論を踏まえ、米国が人類史上初めて「貧しい国を大きくする」役割を果たした覇権国家であったことを振り返る。
しかし、50年でその限界が訪れ、世界人口65億人を前に一国では支えきれなくなった。
著者は25年前に「文明のターンテーブル」が日本に廻ったと指摘し、日本の使命とマスコミの責任を問う。

経済学の「覇権安定論」を引用し、世界の貧困を救うためには強大な覇権国家が必要であると論じる。
米国を史上初めてその役割を認識した覇権国と評価しつつ、単独での限界を指摘。
日本が米国に次ぐ覇権を担うべきだったという著者の見解と、その機会を逸した日本の「失われた20年」について、マスコミと国民の責任を問う。

2013-01-28

覇権安定論…2010/7/17
Hegemonic stability theoryとは、ウィキペディアによれば、経済学者のチャールズ・キンドルバーガーによって発表され、ロバート・ギルピンによって確立された理論である。
一国の覇権で世界が安定し、かつ経済的に発展するには以下の3つの条件が必要である。

I.一国が圧倒的な政治力及び経済力、すなわち覇権(Hegemony)を有していること。
2.覇権国が自由市場を理解し、それを実現するために国際体制を構築しようとすること。
3.覇権国によって国際体制の中で利益を享受すること。

今の米国が真正な覇権国であることは、その条件に照らせば、まさにその通りでしょう。
25年前、僕は、世界には、何故、覇権国が存在するのだろうかと考え続けていたのでした。
親友を訪ねて滞在していた8日間、ローマから世界を見ていた時に突然気付いたのでした。

「世界の半分は、今も貧しい。飯すら食えない。だから猛烈に栄える一国が必要なのだ」と。
そうして例えばアフリカに、何とか、お金が流れて行く……。
紀元から見れば、イタリア~ポルトガル~スペイン~フランス~イギリス~米国~米国・日本と言うことだったのだなと気付いたのです。
それが文明のターンテーブルなのだと。

25年前、米国は覇権国になって、たった50年でくしゃみをした。
米国は覇権国として、貧しい国を大きくして行くという役割を認識していた人類史上初めての覇権国である。
その必然とも言える多消費型の経済が過ぎて、財政赤字が拡大していた。
このままでは世界も危ない、米国と屹立し繁栄する自由な国が必要……日本しかない。
あの頃、私たちは、無階級、無イデオロギー、無宗教と言う人類史上初めての文明を作り上げていたのです。
大戦末期の短期間だけでも四百万人の犠牲の結果ですが。
米国がキリスト教国家であると仮定すれば、紛れもなく人類史上初めての文明を作り上げていたのです。

今、僕は、こう思うのです。
英国から米国に覇権が移って50年経った時、世界の人口は倍に増え65億人となっていたのである。
米国一国では、もはや世界は救えない。
今も米国は悲鳴を上げているのである。
欧州よ、日本よ、中国よ、内需拡大してくれ、と。
なのに、2009年、日本の株式市場関係者がコメントしていたことは、これからは「米国離れの中国頼みだ」と。

25年前、文明のターンテーブルが日本に廻ったことに気付かずに来たための悲劇ですし、真実に気付きもせず愚かな正義感を振りまわし、日本の失われた二十年を作ったマスコミの責任は実に重い。

覇権国家は200年続くのが習わし。

以下続く。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。