日本の国益に敵対する二重国籍議員と外国人秘書の深刻な問題——拳骨拓史「共産党スパイ5万人の恐怖」より
拳骨拓史氏の論考は、日本の政治に潜り込む中国共産党系情報網の実態を暴き、特に二重国籍議員、帰化1世議員、外国人秘書の問題が国家安全保障上の重大リスクであると警告する。民進党議員の中には、外国人参政権推進や特定秘密保護法・安保法制への反対など、日本の国益を損なう行動を示す者も存在する。中国系配偶者の背後関係、外国人による地方議会進出、行政調査権を持つ議員への浸透など、看過できない事例が続発している。日本の安全保障のためには二重国籍議員の禁止に加え、帰化1世や外国人配偶者を持つ議員、外国人秘書の制限が不可欠であると論じている。
官公庁の防諜を強化しても政治家から情報が筒抜けなら意味がない
中国による組織的スパイ活動が日本の政治家や官僚組織を通じて情報漏洩を引き起こし、国家安全保障に深刻な脅威を与えていることを、Genkotsu Takufumi の論文は明らかにしている。過去のハニートラップ事例、公安内部の二重スパイ疑惑、そして日本版MI6構想よりも防諜体制の確立が急務であるとの指摘を通じて、スパイ防止法の早期制定と政治家の良識の重要性を訴える内容である。
官公庁の防諜(カウンターインテリジェンス)を高めても、政治家から情報が筒抜けになるのであれば何の意味もない。
2024年06月16日
拳骨拓史 共産党スパイ5万人の恐怖
2016年11月17日 公開
2022年12月07日 更新
以下は前章の続きである。
政治家から情報が筒抜けに
アメリカでは帰化すれば1世でも選挙権、被選挙権を得ることができるが、大統領選に出馬することはできない。
日本のように有権者数が多くはなく、内閣総理大臣の選出がアメリカの大統領選のような直接選挙で行なわれているわけではないことを考慮すれば、これらに制限を掛けるのは当然だといえるのではないか。
むろん、これは二重国籍、帰化1世等だけに限定される話ではない。
かつて橋本龍太郎元首相が中国人女性工作員のハニートラップに引っかかったことは有名だ。
この2人の出会いは、1970年代に在日中国大使館に勤務していた女性工作員がホテルニューオータニのロビーにいた橋本の前で白いハンドバッグを落とし、それを拾ってもらったことから始まった。
以後、逢瀬を重ね、政府の実権を握った橋本氏を使って北京市の病院への資金援助と天安門事件で凍結されていたODA(政府開発援助)26億円の支援に成功している。
「1人の優秀なスパイは一個師団に匹敵する」との言葉を彷彿とさせる出来事だといえるだろう。
官公庁の防諜(カウンターインテリジェンス)を高めても、政治家から情報が筒抜けになるのであれば何の意味もない。
スパイ防止法の早期制定と国会議員、有権者の良識が求められることはいうまでもない。
帰国後、杉嶋氏は日本の公安調査庁(以下、公安)に協力して提供した資料がことごとく北朝鮮当局の手に渡っていたうえ(公安に北朝鮮の二重スパイがいる可能性)、
拳骨拓史 共産党スパイ5万人の恐怖
2016年11月17日 公開
2022年12月07日 更新
以下は前章の続きである。
政治家から情報が筒抜けに
MI6構想より防諜が急務
中国では2015年5月から在中邦人をスパイ容疑で逮捕、起訴する事件が相次いでいる。
拘束された人物は、中朝国境地帯で個人貿易をしながら北朝鮮情勢の情報を収集していた男性や、浙江省で人材派遣業を営む男性(人材派遣はヒト・モノ・カネを扱うため、情報を得やすい)、中国と35年にわたる付き合いがあり、中国人観光客誘致や技術指導をしていた人物(親中派のように振る舞っていたが、日本の二重スパイ)など多岐にわたる。
いずれにせよ、これだけの数の情報協力者が一斉に逮捕されるというのは、日本側の情報が中国へ筒抜けになっている可能性が高い。
むろん、これまでも中国で捕まった事例はあるが、裏で該当日本人を国外追放するなどで済ませてきた。
私がこの事件から想起するのは、日経新聞記者北朝鮮拘束事件である。
この事件は、1999年に日経新聞記者(当時)杉嶋岑氏が北朝鮮にスパイ容疑で拘束された事件である。
帰国後、杉嶋氏は日本の公安調査庁(以下、公安)に協力して提供した資料がことごとく北朝鮮当局の手に渡っていたうえ(公安に北朝鮮の二重スパイがいる可能性)、日本に協力した民間人が拘束された際に、政府がトカゲの尻尾切りのように「知らぬ、存ぜぬ」で乗り切ろうとした姿勢を厳しく批判している。
日本では内閣情報調査室、公安、警察庁、外務省、防衛省などさまざまな機関が独自で情報を入手しているが、今回、中国に逮捕された日本人はいずれも公安の協力者と見られることから、かつての杉嶋氏の事件と同じ事が起きているのではないだろうか。
2013年には、朱建栄東洋学園大学教授が日本との二重スパイの容疑で中国で逮捕されたが、その際、公安を含めたわが国の情報機関関係者との接触について厳しく取り調べられたという。
この動きを見ても、わが国の動きが筒抜けになっている可能性は高い。
早期に情報漏洩の原因を調査し、責任者を処分しなければ、このままでは身の危険を感じ、日本のために情報提供をしようとする者は現れないであろう。
現在、安倍内閣の下で日本版MI6構想が持ち上がっている。
だが、それよりも急務なのは防諜であり、国内に潜むスパイおよび二重スパイを排除するための法整備と体制づくりであり、事態が発覚した際に日本政府への情報提供者を安全に保護するための仕組みをつくることではなかろうか。