新聞が描かない世界を書き続けて — 高山正之、魂の序章
2025年11月27日刊、高山正之最新刊『高市早苗が習近平と朝日を黙らせる』序章より。2002年から20年以上にわたり「変見自在」を書き続けた記者人生と、新聞が書けない世界、朝日新聞の虚偽報道への痛烈な批判、そして連載終筆に込めた静かな覚悟を描く魂の告白。
以下は、2025/11/27に、ワックから出版された高山正之の最新刊、高市早苗が習近平と朝日を黙らせる、の序章からである。
親友は、この序章を読んで、胸にぐっと来るものがあった、と言った。
私も全く同様である。
戦後の世界で唯一無二のジャーナリストであり、最もノーベル文学賞、或いは平和賞に相応しい作家でもある高山正之が、初めて心情を吐露した。
それも彼らしい簡潔さと高貴さと潔さで、だったからである。
ただ、ひたすら、日本の為、世界の為に、1,2億人分、否、75億人分の働きをしてきた彼の辞世の句の様な趣が、最後の短い一文にあったからである。
私は、その事を確かめようとして再読した今、この瞬間にも感涙を覚えた。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
はじめに 新聞が描かない世界を書き続けて
「週刊新潮」に「変見自在」を書き始めたのは二昔も前の2002年5月だった。
決まりごとは少ない。テーマは勝手。字数は1500字。
土曜日に書き上げ、日曜日に赤字をさして終わる。
ついでながらコラムの見出しも付ける。
朝日新聞が社説で「人権を踏みにじる」と因縁つけてきた1144回目の見出し「創氏改名2.0」もこちらの考えで付けた。
そこまでやってちょっとホッとするが、言い換えればこの20余年間、週末はそれですべて潰れてきた。
そして一眠りして月曜日になるとさて今週は何を書くか、考える。
例えば支那の話を書いたら次も支那とはいかない。
米国を書くか、中東を書くか、たまには韓国ものも入れるか、順番を考える。
どこにするかそれが決まればそれに見合ったネタを探す。
新聞を読み、スクラップを繰り、ときには人に会ったりして次の出稿に問に合わせる。
幸いというか産経新聞に入ってから36年間、なぜか出世もしないでずっとヒラの新聞記者をやってきた。
社会部時代は「狂気の昭和40年代」をこなした。
全日空機の東京湾事故に始まって三億円事件、金嬉老事件、よど号事件、三島由紀夫の割腹に横井庄一、連合赤軍から三菱重工爆破事件までほぼつきあった。
その後は英語もペルシャ語もしゃべれないのに外信部に出てイ・イ戦争のテヘランに駐在し、アジアハイウエーを走り、カバブを食い、イスラムにゾロアスターにユダヤ教の違いも教わった。
取材ノートはパンパンだが、実を言うと新聞には書けないコトが多い。
早い話、人種や宗教は書けない。
うっかりユダヤ問題に触み込めば「マルコポーロ」誌のように廃刊にもされる。
単一民族日本人には理解を超える闇があり、新聞はその闇を避けてきた。
闇を解明しても書けないならと多くの記者は取材もしないで避けてきた。
だからNATOがセルビアを空爆したときの日本の新聞は何も解説できなかった。
今のウクライナ戦争にも通じるが、原因は東西ローマ帝国の分裂で、同じキリスト教でもカソリック・プロテスタント系の西欧はギリシャ正教系の束欧及びロシアをイスラムより嫌う。
おまけにそんな深刻な対立の元がミサのパンはふっくらか種なしかの違いだけというから確かに日本人には理解しがたい。
ただ彼らは本気だ。
東(ギリシャ正教)のセルビアがコソボに居座るアルバニア系イスラム人を追い出しにかかると、それを口実に西(カソリック・プロテスタント)のNATO軍が「イスラムを苛める」セルビアを爆撃し、今では西の支援でコソボは独立したイスラ厶国家にもなっている。
日本で言えば在日支那、韓国人が京都を占領して独立宣言をするようなものだ。
日本人が怒って追い出そうとしたら米軍が爆撃にきたのと同じように。
そんな不条理が今、あちらでは罷り通っている。
ウクライナも西と東が半々で、ロシアが危機感を覚えて戦争を引き起こした。
プーチンが「自衛戦争」という理由がそこにある。
そんなわけでコラムなら書けるネタが結構一杯あって20余年間何とか続けられた。
ただそうやって書いていると、資料として読んでいる朝日新聞が書き散らかす嘘がどうしても気になってくる。
なぜなら朝日の記者は勉強しないし取材もしない。
ネタはタレこみで間に合わせ、隙間ができると適当な嘘で埋める。
そのくせオピニオンリーダーを気取る。
しかしその言い分は常に陳腐で、どこかの進歩人なら言いそうな核廃絶とかを唱える。
そこまでにすればいいのに「同じ原子力だから」と反原発も言い出す。
ニトロは爆薬にもなるが、心筋梗塞の薬にもなる。
原子力とて同じで、医療にも治療にも発電にも使えるのに、バカは「原発だけはダメ」と頑張る。
なぜなら軽水炉の再処理で出るプルトニウムから「6千発の核爆弾ができる」と社説で繰り返す。
反原発屋はそれを信じて立てカンにも掲げる。
しかし軽水炉の使用済み燃料からは逆立ちしても核爆弾はできない。
素人だって知っている。
核物理のイロハだ。
米国は朝日のそのバカさ加減を大事にする。
というのは日本はずば抜けた戦争上手の民だ。
白人どもが2千年問、戦艦をぶつけあう衝角(しょうかく)戦が海戦の形と信じてきた。
それを日本は日本海海戦でぶつけなくても沈められることを証明した。
世界が日本に倣い大艦巨砲にした。
英国は超超弩級戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」を持ちだしたが、日本は航空機でそれを沈め、「海戦はもはや航空機主導の時代」だと教えた。
日米戦末期、日本は目を持った爆弾、つまり特攻機で空前の戦果を挙げた。
戦後、米国はそれに教えられて「エンジンを持ち自分の日で地形を読んで飛ぶ」巡航ミサイルを開発した。
今の攻撃型原潜も日本の伊号潜水艦のアイデアから生まれている。
だから米国は日本の再興を恐れる。
そのお先棒を担ぐのがバカな朝日新聞で、先の戦争を材料に日本を貶め、慰安婦の嘘まで拵(こしら)えて日本の足を引っ張ってきた。
そんなワケで「変見自在」には朝日に「もうバカをやめよ」と忠告し、嘘に不感症になった記者を実名でたしなめる役割も加わった。
「創氏改名2.0」もその趣旨で、朝日がよく使う通名の悪用問題を取り上げた。
日本人でもない連中が日本人を装ってよからぬ嘘をつきまわる。
「朝日は身元をはっきりさせて書かせろ」と忠告した。
そしたらそれが差別だと鬼の首を取ったようにはしゃぎ、通名は「在日がばれると苛められるから自衛行為だ」と屁理屈を言い出す。
そんな苛めなど聞いたこともない。
この朝日の主張に東京新聞が尻馬に乗った。
お前らは関係ないだろうと思ったが、そういえば東京新聞が地方紙中日新聞の子会社になって名古屋弁の記者が警視庁クラブにも入ってきてミャーミャー言う。
本来は除名なのに朝日の子分になる条件で許された。
そんなことを前に書いた。
あれをまだ恨んでいたのだろうか。
騒ぎが広がり新潮側は「ほとぼりが冷めるまでの休載」を言ってきた。
こっちは20余年、週末なしの執筆に疲れていた。
傘寿はとっくに過ぎた。
まだ少し残っている青春時代を楽しもうと思って休載ではなく、連載を打ち止めにした。
幸いというか、支那や韓国、朝日の悪さを見抜く高市早苗さんが総理になった。
こちらは静かに舞台下手に下がってもよさそうだ。
新聞が描かない世界を書き続けました。
長い間、お読みいただいて有難うございます。
高山正之

