日本人は本当の中国人がわからない —「道義国家」幻想を打ち砕く中国史の実像

月刊誌WiLL1月号掲載、高山正之と樋泉克夫(愛知県立大学名誉教授)による対談「日本人は本当の中国人がわからない」を原文に忠実に再構成。毛沢東時代の反乱・処刑、大躍進による大量餓死、宗教結社弾圧、賄賂と官僚支配の実態、華僑の根無し草性などを通じて、「道義国家・中国」という戦後日本の幻想を根底から否定。中国共産党は易姓革命すら許さぬ強権体制であり、日本は幻想を捨て、現実に即した冷徹な対中認識を持つべきであると警告する必読対談。

本稿は、月刊誌WiLL1月号に掲載された高山正之と樋泉克夫(愛知県立大学名誉教授)による対談「日本人は本当の中国人がわからない」を、原文に忠実に再構成したものである。
戦後日本の知識人や中国研究者が抱き続けてきた「道義国家・中国」像がいかに幻想であったかを、毛沢東時代の叛乱・処刑の記録、「大躍進」による数千万人の餓死、宗教結社の弾圧、中国人の「規則破り」「賄賂」「官僚支配」など、林語堂の鋭い指摘や近現代の具体例を通じて暴き出している。

また、華僑の歴史と「根無し草」性、中国共産党体制と賄賂構造、習近平の反腐敗キャンペーン、戦狼外交、孫文像の欺瞞、日本の対中外交80年の歪み、日清戦争・済南事件・731「写真」捏造など、「対中贖罪論」が見落としてきた中国側の残虐性と情報戦の実態を掘り起こす。
柳田国男の日本人論や馬渕睦夫の引用を通じて、日本人の「造り変える力」とは対極にある中国的「奴隷根性」「虚偽と収奪の文化」を対照させ、日本は中国を「道義国家」として扱うのではなく、冷徹な現実認識と「韜光養晦」型のしたたかな外交で臨むべきだと結論づけている。


以下は、月刊誌Will1月号に、日本人は本当の中国人がわからない、と題して掲載されている、戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである高山正之と樋泉克夫(愛知県立大学名誉教授)の対談特集からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
特に、日本国民は、一字一句を、肝に銘じて読まなければならない。
本欄は、その様にして発信する。
見出し以外の文中強調は私。

日本人は本当の中国人がわからない
日本人は中国に幻想を抱き続けてきた。
今こそ目覚めるとき!

前文省略。

易姓革命を許さない
高山 
中国人は何者なのか、日本人研究者はそれこそ何も考えていない。
神奈川大学名誉教授の小林一美が「中華帝王を夢想する叛逆者たち」という小論文を書いている。 
小林は1980年、初訪中で、山東省済寧に一泊した。
そこで現行反革命分子が数人処刑されたという布告文が目に留まった。 
「私は、明清時代の邪教徒の叛乱、秘密結社の暴動などを少し研究したことがあったが、偉大なる社会主義の革命家毛沢東が指導する、崇高なる世界革命の中心たる中華人民共和国において、まさか明清時代の白蓮教徒の如き『邪教徒』が生きているとは全く予想もしなかったのであっ気にとられてしまった」 と書く。
日本の学者が、毛沢東をこうも賛美しているのに呆れてしまう。

樋泉 
中国政治学研究者の中嶋嶺雄氏が文化大革命を見て驚きました。
「道義国家である中国がなぜ、こんなことをしているんだ」と(笑)。

高山 
「道義国家」なわけはないだろう(笑)。 
中国がまだまともと思うのは、『河北省志』には社会主義政権に反対して新王朝の樹立、新皇帝出現を宣言して暴動を計画したのが10件記載されているということだ。
また、『山東省志』には1954~84年の間に2503件の叛乱があり、皇帝の座につこうと考えた人物が217人逮捕されたとあるという。
80年代まで処刑があったことにも驚く。

樋泉 
ユーチューブに中国の処刑動画が公開されています。
実に興味深いですよ。

高山 
1958年から大躍進時代があり、数千万人の餓死者を出した。
毛沢東は、「死体は畑に埋めればいい肥料になる」と累々の死者の処分の仕方を下命する。
人民のことなど気にもしなかった。一
だから、宗教結社の「一貫道」など幾100人の皇帝や教祖が共産主義体制打倒に立ち上がった。
誰かは革命に成功するかと思ったけれど、共産主義体制はそのすべてを潰してしまった。
中国の伝統である易姓革命すら許さないほど中国共産党は強かった。

樋泉 
では、今の中国人民は共産党体制に見切りをつけているのか。決してそんなことはありません。
東京の中心地にある高級タワーマンションを中国人家族が買い占めています。
それに対し、日本政府もようやく規制に動こうとしている。
じゃあ、なぜ、中国人は日本の土地や不動産を買うのか。
一部の識者は「習近平体制に見切りをつけ、逃げてきている」と分析する人もいますが、本当にそうでしょうか。 
華僑の歴史を見ると、彼らは金になるところ、儲かるところがあればどこにでも行く。
しかも、移住したからといって習近平体制に断固反対しているかというと、そうではありません。
儲かると見たら、中国に戻ることだってある。

高山 
むしろ、感心するのは、明治初期まで東南アジアをあれだけ荒らした華僑が、日本には根付くことができなかったことだ。
その頃は小林某のような学者がいなかったからよかったものの、今はどうなのか。
中国をまともな国だと信じたり、尊敬したりしているようでは、正しい中国人像を理解することはできない。
この稿続く。

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