日本人は本当の中国人がわからない — 高市外交・米中の本質・対中幻想の崩壊を暴く完全対談再構成

月刊誌WiLL1月号掲載の高山正之×樋泉克夫(愛知県立大学名誉教授)による対談「日本人は本当の中国人がわからない」を全文再構成。高市早苗政権の対中外交、80年に及ぶ日本外交の歪み、中国製EV・ソーラー問題、米中の本質的構造、宣教師ネットワークの歴史的役割、共産主義史観、中国の歴史教育、習近平の思想形成、毛沢東路線の継承、台湾情勢、柳田国男の日本人論まで網羅的に検証。日本人が抱いてきた「中国への幻想」を徹底的に打破し、現実と歴史に基づく対中認識の再構築を迫る必読対談。

以下は、月刊誌Will1月号(今月号)に、日本人は本当の中国人がわからない、と題して掲載されている、戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである高山正之と樋泉克夫(愛知県立大学名誉教授)の対談特集からである。
日本国民全員が必読のみならず世界中の人達全員が必読。

日本人は本当の中国人がわからない
日本人は中国に幻想を抱き続けてきた。
今こそ目覚めるとき!
中国への大いなる誤解を正す  
高山 
高市外交が華々しくスタートした。
ASEAN(東南アジア諸国連合)に始まり、米中韓との首脳会談、 そしてAPECだ。
外交経験のない高市さんだから、心配や懸念の声もあったけど、杞憂だった。

樋泉 
上々だったと言えるのではないでしょうか。
高市政権を通じて、戦後80年の対中外交を見直すチャンスを迎えている。 
日本の対中外交がいかに歪であったか、その事実をさらけ出してくれれば、高市政権の果たす役割はとても大きい。
もっと言えば、中国に対する大いなる誤解を正すきっかけをつくってもらいたい。

高山 
だいたい中国製のソーラーパネルや電気自動車(EV)はよくできたペテンと言っていい。
中国ですらEV離れが起きている。
EVを駐車するときは建物から15メートル離せとか、地下駐車場には停めるなと言っている。
いつ発火するかわからないし、火をふけばもう手が付けられない。 
中国では今、トヨタのハイブリッド車が売れている。
EVはもはや誰も乗りたがらない。

樋泉 
中国製のモバイルバッテリーが突然発火する事故も多数発生しています。
高山 
中国製は昔から欠陥商品の代名詞だった。
心ある日本人は買わない。
米国でも中国製のドックフードが出回って、安いからと買って愛犬に食べさせたら、みな死んでしまったということがあった。
たいそうな騒ぎになって、米国人も中国人の正体を知るようになった。 
中国好きの政治学者、マイケル・ピルズベリーが2015年、中国がペテン師国家で放っておけば2049年には米国を凌駕する大国になると発表した。
気候変動やC0²の排出規制も中国が絡んだ世界的な詐欺行為だと言われるが、日本はそれでも目が覚めない。
旧民主党の菅直人は中国製のソーラーパネルをどんどん買い入れさせ、日本の自然を破壊しまくっている。
高市さんはメガソーラーの規制に動くという。
菅直人の売国行為にやっと終止符を打てる。

樋泉 
一つ、高市さんに忠告するとしたら、中国にはあからさまな態度を出さないことです。
表立って文句を言ったら、敵もさるもの、実に巧妙に罠を仕掛けてくる可能性があります。 
ASEANで、高市さんが「自由で開かれたインド太平洋を堅持する」と語り、各国の首脳が万雷の拍手で応えたと報じられました。
ASEAN諸国は、そのような理念を表面上、受け入れはするものの、見返りも求めている。
実際に、高市さんのあと、訪問した中国首相の李強は、ASEAN諸国と中国との自由貿易協定(ACFTA)3・0を新たに調印しました。
そのような実利がなければ、ASEAN諸国は日本のために具体的に動くことはありません。
高山 
1977年、当時の首相、福田赳夫がフィリピンーマニラを訪問した際、「軍事大国にならない」「社会・文化など幅広い分野で心と心のふれあう相互信頼関係を築く」「対等な立場でASEANの連帯に協力」の三原則からなる「福田ドクトリン」を表明した。 
高市さんの発言もそれに似たところがある。
樋泉
当時は日本経済という大きな実利がその背後にあったので、ASEAN諸国が「福田ドクトリン」を受け入れたのです。
では、今はあるのか。その点を日本外交は考えなければなりません

まずは騙して儲ける
高山 
米中首脳会談も行われたけど、成果のほどはどうだったのだろう。
樋泉 
私は米中はどこかで妥協すると見ていました。
案の定、レアアースなど重要鉱物の輸出規制を、中国側は事実上撤廃するとし、その代わり米国は対中関税を20%から10%に引き下げることで合意した。 
中国の基本的な考え方として、100,要求して、30取れればいいとする。
トランプ流の交渉術も同じです。
今回の首脳会談では、双方の思惑が一致したのでしょう。 
一方、日本人は生真面目すぎるきらいがあり、中国側が100要求したら、100出さないと申し訳ないと感じてしまう。
だから、中国とはうまく交渉ができないのです。

高山 
はじめて中国に行ったとき、店で風変わりな耳かきを売っていた。
値段を聞いたら「20元」と言う。
だから20元出したら、向こうがびっくりした(笑)。
3元くらいの安物だと後で聞いた。
まず騙して儲けようとする。
それが中国人だと。

樋泉 
1968年にはじめて台湾に行ったとき、お土産でも買おうかと台北の街を歩いていたら、扇子を売っていた。
一本3元。
3本欲しいと伝えたら「10元」と言う。
「違うだろう。9元じゃないか」と文句を言ったら、「いや、3つ買える人は10元出せる」と言う(笑)。

高山 
日本人はそういうバカ正直さがあって、それを改めろと言っても、今さら無理な話だ。 
1890年代まで、米国は宣教師を中国に1500人以上入れている。
その中にはノーベル賞作家のパール・バックの父親や、燕京大学の学長を務めたレイトン・スチュアートの父親もいた。
その2世たちが、忍者でいう「草」になって反日工作に走った。
1930年代には米国の宣教師、ジャーナリスト、外交官、新聞記者、ビジネスマンなどあわせで13000人にまで増えた。
米国人の「草」と海千山千の中国人が組めば日本人などころりと騙され、日本は泥沼の戦争に引きずり込まれた。 
そういう意味でも米国と中国は実に似ている。
米国は根性が悪く、中国はさらに根性悪だ。
高市さんはそういう2大国に騙されないようにすべきだ。

樋泉 
1972年、米国のニクソン・キッシンジャーが訪中し、周恩来と会談しました。
そのときの秘密情報がどんどん明かされていますが、両国とも日本を徹底的にバカにしています。
キッシンジャーは「日本人は秘密が守れない。ワシントンで日本の大使に秘密情報を流すと、午後には流布されている」と批判する。
それに対して、周恩来は呵呵大笑しています。
そういう意味でも、米中ともに対日姿勢は同じではないでしょうか。
その証拠に8月14日に発表されたトランプによる「第二次世界大戦の勝利から80年を迎えたメッセ―ジ」と、9月3日の習近平の抗日戦勝80周年記念式典での演説の中身はまさに同じでしたから。
戦争責任は日本にある、日本が悪いとしている。

高山 
騙し屋一家の異母兄弟みたいなものだ。
樋泉 
米中が戦争状態になり、相手を徹底的にやっつけることまではしないのではないか。
むしろ、うまく落としどころを見つける。
今回の米中首脳会談がまさにそうです。
日本はそういう国と積極的にお付き合いをする必要はない。 
しかし、日本の政治家やマスコミは、米中の正体をわかっていない。
本当に困りものです。


共産主義史観を叩き込まれて
高山 
中国に対する意識としてパブリックコメントを取ったところ、80%以上が「嫌い」と答えている。
この数字は大いに期待が持てる。

樋泉 
そういう意味でも、日本人は中国人の本質を改めてしっかり見つめ直す必要があります。 
1955五年6月、中国共産党が発行した歴史教科書『どのように歴史を学習するか』(崔魏著)は、実に参考になります。
冒頭で4000年生きた「歴史」という名前の老爺が登場します。
その老爺が子どもたちに歴史を教える。 
「君たち、考えてごらん。中国にはこんなに広い上地があるけど、どこにもすべて祖先の熱い血が流れていないところはないんだよ。どこにも革命の烈士の熱い血が流れていないところはないんだよ。どこにも祖国を守る英雄の熱い血が流れていないところはないんだよ」 
そして、 [共産主義の社会というものは、いいもんだろう。君たちも好きだろ?じゃあ、これから私が君たちに共産主義を実現する方法を教えます。誰と戦ってどのように勝利すればいいのか、これから話します。君たちよく聞けよ」 と言って、次に進みます

高山
物語形式になっている。
樋泉 
ええ、次に歴史に関して問答形式で書かれています。
「1921年は何の年か知っているかい?」
子どもたちが、「はーい! 第一回共産党大会が開かれた年です」
「じゃあ、22年は何の年かい?」「それは第二回共産党大会が開かれた年です」 

「23年は何の年かい?」 「それは孫文が共産党と一緒になって戦おうとした年です」 
1955年発行ですから、習近平を中心とした今の中国政府の高官たちに大いに影響を与えていると考えられます。
彼らの頭の中は、このような歴史観が詰め込まれている。

高山 
恐ろしい話だ。

この稿続く。

Paul Simon & Goerge Harrison- Here Comes The Sun

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