首相への不満 民主若手で拡大…今朝の日経新聞2面から。
復興計画 意見反映されず
東日本大震災への菅直人首相や党執行部の対応に、民主党内の中堅・若手らが不満を強めている。震災復旧・復興のための特別立法や補正予算編成で党側の意見が反映されないと感じているためで、前原誠司前外相や野田佳彦財務相を支持するグループにも拡大。竟内外にくすぶる「菅降ろし」の動きを勢いづかせる可能性もある。
前原・野田系も一部同調
「グループを超えて1期生が一丸となってこの難局を乗り越えなければならない」。19日、衆院第1議員会館に当選1回議員45人が集まった。注目を集めたのは、首相の政権運営に批判的な小沢一郎元代表を支持する議員だけでなく、首相を支持する前原、野田両グループの議員が姿をみせたことだ。会合では「決断すべき時に政治が決断できていない」などと政権批判の声があがり1期生が立ちあかって原子力安全行政を立て直そう」と気勢を上げた。
民主党は3月23日に岡田克也幹事長がトップの「復旧・復興検討委員会」を新設。その傘下に「特別立法」「復興ビジョン」「歳出見直し」「補正予算」の4テーマの検討チームを発足させた。省庁ごとの各部門会議から意見を吸い上げ、積み上げ方式で政府への提言をまとめる予定だった。
だが、これらの組織が賦府への提言をまとめた形跡はない。今年度第1次補正予算案の編成でも部門会議の議論はほとんどない。ある座長は「部門会議は存在する意味がない」とこぼす。党内で補正予算の内容を決めているのは幹部らだけであり、玄葉光一郎政調会長は19日の党常任幹事会で「部門会議で集約できないので自分たちで決めた」と意に介さない。
党政策調査会は小沢元代表が幹事長時代に「政策決定の内閣一元化」の方針のもと廃止され、菅首相就任後に復活した経緯かおる。党の議論を政府の政策決定に反映する狙いがあったが、震災発生後は組織や会議が乱立したことも影響し、政権内の指揮命令系統が乱れ1次補正は「事実上、財務省が主導した」(党幹部)との見方もある。
大震災と原発事故が重なる同時多発的な災害のため、迅速な対応が求められるのも事実。中堅・若手を中心とした首相への不満は、震災対応が長期化する見通しとなり、統一地方選前半戦も敗北したことで再び表面化した。菅政権への批判は容易に収まりそうにない。