中国企業トップ30 宝鋼集団…日経新聞1月16日6面より
豊富な内需で地力培う
供給は過剰 海外勢と研究開発も
世界最大の粗鋼生産量を誇る中国で業界をけん引するのが宝鋼集団(上海市)だ。中国は800社以上の鉄鋼企業がひしめき粗製乱造も指摘されるが、宝鋼は新日本製鉄など世界大手をお手本に「模範生」としての振る舞いを見せている。
…中略。
1978年。宝鋼は文化大革命の傷痕残るなかで、鉄鋼産業を生み出す使命を負って設立。新日本製鉄の君津製鉄所千葉県)をモデルに、当時の最新の技術や設備を導入し、中国の産業基盤を作り上げてきた。
世界最大手の欧アルセロール・ミタルとは、新日鉄を含む3社で自動車用鋼板の合弁工場を展開するなど、海外技術を積極的に吸収しながら、競争力を高めてきた。中国に進出する自動車や家電の世界大手にも鋼板を供給できる力をつけた。
2010年の粗鋼生産量は4450万トンで世界3位。先輩の新日鉄(5位)を上回る。収益力も高い。宝鋼の10年の生産量は中国全体の7%を占めるが、利益額では業界全体の3割弱を生み出した。鉄鋼業の模範生とされるゆえんだ。
…後略。
————————–
巨大外資に勝つ自信
宝鋼集団の創業期に技術と人材を送り込んだ新日本製鉄。「新日鉄がなければ今の宝鋼はなかった」と宝鋼幹部は感謝する。その新日鉄は今年10月、住友金属工業と合併新会社を設立し、宝鋼を抜き世界2位に躍り出る。
世界で再編機運が高まるなか、徐楽江氏は「中国市場をもっと開放すべきだ」と語る。巨大外資に勝てる自信の表れか。
競争こそが世界企業への飛躍の道とみているのか。最大の鉄鋼消費国で業界盟主の座にある宝鋼から目が離せない。 (上海で、菅原透)