インテル、米に最先端工場…日経新聞1月24日3面より
技術力支える国内生産
文中黒字化は私。
米国のアリゾナ平原に突如、最先端の半導体製造工場が出現した。世界最大手インテルが設計した工場 「ファブ42」だ。2013年の完成予定で、半導体の微細化競争でトップの座を死守しようとする同社の意志を示す広告塔の役割を果たしている。
建設費50億ドルをかける新工場は、回路線幅14ナノ(ナノは10億分の1)メートルの半導体を製造する。ラップトップコンピューター、サーバー、パソコンに使用する半導体だ。しかし目的はそこにとどまらない。
「14ナノメートルまたはそれ以下の線幅は、携帯電話をはじめあらゆる種類のコンピューター技術に進出できると思わせる技術だ」。インテルの製造部門責任者のブライアン・クルザニッチ氏は語る。
インテルの製造技術はおそらく同社にとって最大の強みだろう。今やインテルは、英アーム・ホールディングスが設計し、台湾積体電路製造(TSMC)などアジアの半導体受託生産会社(ファウンドリー)が製造するマイクロプロセッサーからの挑戦に直面しているからだ。
インチルは過去3年で米国での製造・研究開発分野に180億ドルを投じる計画を立てたという。中国のような国でマイクロプロセッサーを製造する場合、インテルは知的財産を危険にさらすことになる。
「米国内で製造を行う最大の利点は、毎晩。知的財産が外に持ち出されてしまうことを心配する必要がないことだ」と米半導体調査のVLSIリサーチのアナリスト、ダン・ハチソン氏は言う。
「ファブ42」は同敷地内の隣の工場に似ており、(インテルは)オレゴン州にも双子の工場を建設中だ。これは同社の「正確にコピーする」戦略の一環で、開発作業と方法が敷地内で同じように進められ、生産設備が迅速に完成できるようにしている。
モジュール式建設方式は競合他社に対する、インテルのさらなる強みとなっている、とハチソン氏は指摘する。
ハチソン氏は「インテルは常に「正確にコピーする」戦略を工具や工程に採用してきたが、工場全体に採用するのは初めてだ。
業界初の試みで、同社は製造能力をどこよりも速く拡大することが可能になる」と語る。
(23日付)=英フィナンシャル・タイムズ特約