「インド・ウェイ 飛躍の経営」ジテンドラ・シンほか著…日経新聞1月29日20面より

企業の現実に立脚した説得力
成長するアジアの代表である中国とインドは大人口国である点など共通性も少なくないが、企業に関しては大きな違いがある。
国有企業主体で純粋な民間企業がなかなか育たない中国に対し、インドはタタ・モーターズ、インフォシス・テクノロジーズ、リライアンス・インダストリーズなど民間企業が勢いよく世界に羽ばたいている。
違いは国家の企業に対する姿勢とともに企業家の発想、行動様式にもある。本書はインドの経営者の原点すなわち 「インド・ウェイ」を基層まで掘り下げて解説している。
多くをインドの第一線経営者のインタビューに基づいて執筆しており、現実に立脚した説得力かおる。これからインドで事業を担うビジネスマンにとっては参考になる部分が多いだろう。
本書はインド・ウェイの根幹を①従業員とのホリスティツク・エンゲージメント(有機的な関係)②「ジュガード(即興力、適応力)」の精神③創造的な価値提案④高遠な使命と目的--と分析する。
一見するときれいごとに響くが、現実の場面でこうした要素がどう具体的に発揮されるかを経営者の体験とともに丁寧に説明している。
材料や部品が足りないときでもあり合わせで何とかモノを作り上げる「ジュガード」の精神はインドの製造業の底力を感じさせる。監訳者の解説も内容理解に役立つ。
太田正孝監訳。(英治出版・2200円)

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