…前略。

ドイツ東部ザクセン・アンハルト州にある人口約４００人の村インゼル。真冬の土曜日の午後、眠っているかのように静かな村の一角で突然、けたたましい笛やブブゼラの音が響く。

「インゼルから出ていけ」。２人の住む一軒家の近くで約１００人の住民が、声をそろえた。「私たちは彼らの療法士でも実験用モルモットでもありません。彼らが再び同じことをやらないとはだれも保証できない」。

呼びかけ人の1人、イロナ・ベルクさんはそう話す。「ここで何か起こったら、いったい誰が責任をとるんだ」。参加者の老人がまくしたてた。

男性２人は64歳と54歳。1980年代に複数回、婦女暴行や傷害の罪を犯した。ドイツ南西部の刑務所を出た後、知人がインゼルに所有する空き家に昨年７月に移ってきた。

村人たちが、２人の過去を知るのに、それほど時間はかからなかった。