被災地広がる求人難 建設に加え小売りも…朝日新聞2月1日5面より

東日本大震災の被災地で、復興需要の高まりによる人手不足が、建設・土木関連から、小売店など個人消費関連に広がってきた。厚生労働省が31日発表した12月の有効求人倍率で浮き彫りになった。復興の足かせになるかもしれない。

「あと2、3人は欲しい」。約3800人の死者・行方不明者を出した宮城県石巻市。海から1・3キロほど内陸側にあるファミリーマート石巻大街道西店の高橋昇店長(59)は、人繰りに頭を抱えている。

沿岸部のコンビニは今、復旧工事の作業員で大にぎわいだ。朝の人気はおにぎりや缶コーヒー。昼はお弁当など、夕方からは、缶ビールやおつまみが売れる。

…中略。

31日発表された昨年12月の建設・土木作業の倍率は3・69倍。求人が求職者をこれだけ上回っている。6ヵ月連続の3倍超だ。さらに、コンビニを含む「販売・営業」の倍率が、徐々に高まってきた。

販売・営業のパートの求人は、9月から求職者を上回り続ける。日本銀行は1月の地域経済報告で「被災地で小売店が新規出店を計画しても、求人難がネックになっている」と指摘した。

原発事故の影響を受ける福島県は、より深刻だ。南相馬市に実際住んでいる人の数は4万3千人と震災前より3万人減った。同市を含む「相双地区」の昨年12月の有効求人倍率は0・83倍と県内で2番目に高かった。ハローワーク相双の担当者は「求人をあきらめ、閉店時間を早める小売店もある」と話す。

元の場所での規模縮小を迫られた企業もある。南相馬市で縫製工場を営む「三恵クレア」では、約75人いた従業員が40人ほどに減り、いわき市に新工場をつくった。五十嵐孝夫社長は「南相馬市に元の住民が戻っても企業がなくなり、復興が進まなくなる」と危ぶむ。

…後略。

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