エネルギーを問う 競争促進 燃料調達が壁…日経新聞2月5日1面より
…前略。文中黒字化は芥川。
「液化天然ガス(LNG)の調達まで考えると、発電所買収に手を挙げるのは難しい」。傘下企業で電力事業を進めるNTTグループ幹部は慎重な姿勢を崩さない。
LNGのスポット価格が高止まりする現状では、発電所を人手しても20年超の長期契約で調達する既存の電力会社に燃料コストで勝てないからだ。
イラン核問題をめぐり緊迫するペルシャ湾。エネルギー輸送の動脈であるホルムズ海峡封鎖もささやかれるなか、見過ごされている事実がある。2011年、日本のLNG輸入量は原発代替で前年比1割強にあたる850万トン増えた。
火力発電用などに緊急調達したほぼ半分の420万トンがペルシヤ湾の小国、カタール産だった。燃料費増大は31年ぶりの貿易赤字転落の一因になっただけではない。原油に加え電力供給の生命線であるLNGも中東に頼る日本の弱点をさらけ出した。
「ホルムズ海峡が航行不能となれば影響を受けるのは原油よりも、備蓄のないLNGだ」。日本エネルギー経済研究所理事の田中浩一郎(50)は指摘する。
電気料金のコストの約4割は燃料費。燃料の調達価格が上昇すれば、競争が進んでもそのコスト低減効果は打ち消される。資源争奪戦は世界中で過熱している。
供給途絶や燃料費高騰のリスクへの答えは、国内だけを見た「コップの中の改革」では得られない。燃料の調達改革が東電の改革と再建を左右する。
…後略。