欧州危機地域で自衛 地産地消「我々が主役」…朝日新聞2月9日8面より
ユーロ補い消費促す 文中黒字化は芥川。
地元限定で支払いに使えるお金「地域通貨」が、欧州で広がっている。イタリアが発祥で、せき立てられるような生活を見直すスローフード運動も続く。政府債務(借金)危機から暮らしを守り、地域を元気づけようと、静かに「グローバル化」に立ち向かう。
フランス南部のトゥールーズ市。有機野菜などこだわり商品が並ぶ生協「ビオ・コープ」で、この地に暮らす翻訳業、鈴木彩土子さん(36)がパンを買っていた。財布から取り出しだのはユーロではなく「ソル・ビオレット」。地域限定の「お金」だ。
…中略。
フランス南東部ロマン市では昨春、地域通貨「ラ・ムジュール」が生まれた。英国では2009年に「ブリクストン・ポンド」が誕生。イタリアでは「SCEC」が広がる。欧州で使われる地域通貨は千~2千種類あるとされる。
…後略。(パリ=稲田信司)
スローフード運動
1986年、ローマ中心部に「マクドナルド」が出店することに対して起きた反対運動が原点。安い輸入品やグローバル企業に「食」を委ねず、地元の農家から食材を直接買うことなどで地域経済を守る活動を続ける。
それが伝統の文化や暮らし方を守ることにもつながると考える。本部はイタリア北西部ブラにある。
地産地消「我々が主役」
…前略。
協会のカルロ・ペトリーニ会長は「いまの危機は、麻薬に侵されたように成長とスピードばかりを優先してきた資本主義のあえぎだ。正すべきは、それに侵された私たちの生き方だ」と話す。
…中略。
スローフード協会は「食べ残しを減らそう」とも呼びかける。過剰な消費を考え直すためだ。「ノーと叫ぶだけではなく、身近なところから行動していかねばならない」
(ブラ=石田博士)