復興庁弱い権限 窓口一本化目指しきょう発足…朝日新聞2月10日2面より

事業実施は担当省 被災地「取次機関になる」

…前略。

笑顔で応じた村井知事だが、復興庁に対する不信感を抱える。村井知事はこれまで、復興対策本部の現地本部に、原発事故対応を繰り返し求めてきたが、「政府に伝える」と繰り返すだけで何も進まない。

結局、首長とともに中央省庁を回らざるを得なかったという。「ワンストップではなく、ワンステップ(第一歩)にならないか不安だ」宮城県気仙沼市の菅原茂市長は、三陸沿岸の7市長が集まった8日の会議で、こんな話を披露した。

「魚市場への支援を対策本部に要望したら、『水産の問題だ』と水産庁に回された」。省庁の縦割りを崩せていないのが実態だ。

自治体の負担がゼロで、政権が「自由度が高い」(野田佳彦首相)と胸を張る総事業費1兆9千億円の復興交付金への期待感も、しぼみつつある。宮城県内の被災市の担当者は、失望感を強めている。

「法律が通り、政治家の関心が薄まった後に各省が縄張り意識を強めてきた」1月の交付金申請の締め切り前には、復興対策本部の職員が「申請は緊急事業に絞るように」と説明して回った。

現地対策本部の幹部は「早い者勝ちにならないよう配慮した」と言うが、村井知事は「思い切って地方に任せて欲しい」と苦言を呈する。

…中略。

そのうえで、こんな懸念も漏らした。「ある程度の権限がないと、単なる取次機関になってしまうのではないか」(山下剛、高橋昌宏、江川慎太郎)

…前略。
 
職員のほとんどは、現在と同様に各省庁からの出向組が占める。「縦割り」批判のなか、出身省庁の意向に影響されず復興支援に取り組む姿勢が、復興庁を生かすカギになる。(高橋福子)

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