輸出減欧州危機響く 1月貿易赤字 過去最大1.4兆円…朝日新聞2月21日5面より
経常赤字の公算大
…前略。
原発事故の影響で火力発電に使う液化天然ガス(LNG)の需要が高まり、輸入が増えるのは避けられない。黒字にするには、それを補うような輸出の堅調さが条件だ。
ところが、頼みの輸出は欧州とアジア諸国で、大きく落ち込んだ。足元の景気が持ち直しつつある米国向けは前年並みだったが、EU(欧州連合)向けは8%近く落ち、前年は633億円だった貿易黒字が6億円に減った。
欧州の需要低迷で、電気製品などを輸出していたアジアの景気にもかげりが生じた。このため、日本からアジアへの部品などの輸出が減少。対アジア(中国を除く)の貿易黒字は5619億円から2308億円へと半分以下に、対中国では赤字が2倍近くになった。
1ユーロ=100円前後の円高ユーロ安の影響もある。日本の主力産業の自動車では欧州向け輸出が3割減る一方、輸入は逆に4割増えた。債務不安が発生していないドイツへの輸出も、1割以上減った。
…中略。
「過去最大の赤字は、一時的現象」(農林中金総合研究所の南武志・主任研究員)との見方が多い。だが、第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「企業の海外進出が進み、たとえ世界景気が回復しても、輸出額が過去の水準に戻るのは難しい」と指摘。
核開発疑惑があるイランに対する先進国の禁輸措置で原油やLNGの価格がさらに上がり、貿易赤字が拡大するリスクもある。これまで日本は、貿易収支と所得収支の二本柱で経常黒字を稼いできたが、1月の経常収支は2009年1月以来、3年ぶりに赤字になる見通し。
巨額の貿易赤字が続けば、経常赤字が恒常化するおそれもある。(牧内昇平)
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