活字が読める日本国民全員が一字一句読むべし特集。⑥
政府や自治体の調達は、業種や品目ごとに「官公需適格組合」が組織され、官公需法で、「組合を国等の契約の相手方として活用するように配慮しなければならない」(第3条)と定められている。配慮せよという努力規定にすぎないが、この組合が力を持っている。
村井氏が本格導入に踏み込めない理由をこう語る。
「政治献金のほとんどは官公需組合に加盟している企業からです。与野党の大半の議員は組合加盟企業の支持を受けているから、敵に回したくない。競り下げ入札の導入には組合の猛烈な批判があり、党幹部からも、
『お前が競り下げと騒ぐから、官公需組合が怒るじゃないか』と腰の引けたことをいわれました」
小沢氏が企業・団体献金の全面禁止を主張してきたのも、そうしたしがらみを断つことが改革の前提だと知っているからだ。が、その方針も岡田副首相が幹事長時代に撤回してしまった。
小沢氏は本誌新春合併号で、民主党政権の予算編成をこう批判した。
「我々は総選挙で、特別会計を含めた国の総予算207兆円を全面組み替えて、国民主導の政治と地域主権の社会を実現すると国民に約束して、政権交代を認めてもらった。その理念、主張を全く忘れちゃって、今までと同じやり方で予算編成を行なっている」
民主党政権はこの3年間、過去最大の予算を組んできた。政権交代した直後の鳩山内閣は事実上、自民党政権時代の予算を引き継いだものだったが、菅~野田政権の2回の予算編成では、既得権勢力に切り込むことができずに官僚に迎合した結果、自民党時代の政策の上に民主党の政策を積み上げたため、予算規模がどんどん膨らんだのである。
増税派ができない入札改革の実行は、小沢氏のいう総予算の組み替え、既得権を切り崩して「公正・公平な社会」をつくるための試金石だ。
それをやれば、「予算削減は無理」という増税派のデマを暴くことができる。
そして、野田政権と財務官僚ができないと決めつける「財源確保」と「予算圧縮」が可能となれば、「年金試算」の公表をめぐって「消費増税しなければ実現できない」とされた「最低保障年金」についても、実現の道が開けるのである。
以下続く。