活字が読める日本国民全員が一字一句読むべし特集。⑦

野田政権の、ご主人々は官・米・報だった
税金を使った大メディアヘの「付け届け」

小沢氏の現政権批判は、外交でも厳しい。かねて小沢氏は「米国との対等な関係」を主張してきた。

小沢グループの会合では、日米関係について、「様々なところで日米同盟という言葉を聞くが、沖縄の問題にしても今の日米同盟はそういえる状態にあるのか。本当に対等なのか」と問題を投げかけた。普天間基地移設問題で米国の顔色ばかり窺う現執行部への痛烈な批判である。

本来、自由経済論者の小沢氏はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)も反対ではない。「アメリカと対等に交渉する能力があるなら、別にTPPは心配ない。だけれども、今の政府は対等に交渉なんかできない、結局アメリカにいわれるままになっちゃうんだろう、というのが国民の不安です」(本誌インタビュー)と語り、政府の当事者能力のなさを問題にした。

その小沢氏が最も怒りを見せたのが、野田首相が今国会から内閣法制局長官の国会答弁を復活させたことだった。

「立法府における議論こそ政治家自身で行なわなければ、政治主導とは到底言えない」

2月13日の小沢政治塾での講演で、小沢氏は激しくそう批判した。実はこれも外交政策に起因している。

「日本に議会制民主主義を定着させることが政治家としての使命」と言い続けてきた小沢氏は、国権の最高機関である立法府が役人にコントロールされていることを最も憂慮し、政権交代後、官僚の国会答弁を原則禁止し、とくに内閣法制局長官が法解釈を述べることを厳しく禁じた。

かつて湾岸戦争当時に内閣法制局は「憲法上、自衛隊派遣はできない」と主張してPKO派遣を潰し、逆に小泉政権下のイラク戦争ではご都合主義で法解釈を変えて自衛隊派遣を認めた。

事実上、外交を官僚が決めてきたのである。

小沢氏は湾岸戦争では国際協力を主張し、イラク戦争では「大義がない」と自衛隊派遣に反対した。内閣法制局とは宿敵の関係にあった。

野田首相が、その政治家の最大の責任である外交の主導権さえ霞が関に“大政奉還”してしまったことで、小沢氏は“この政権は終わった”と見限ったのだ。

「政権交代の時に掲げた大義の旗をもう一度高く高くかかげて頑張る姿を描きたい」(BS11)

この発言には、民主党を元の形に戻したいという小沢氏の強い意志を感じる。
いま練られている小沢氏の構想は、すべて民主党マニフェストの理念に基づく原点回帰である。

その小沢氏が戦う、霞が関と並ぶ最強の敵は大メディアになる。

野田政権は政府・党あげての増税キャラバンに乗り出した裏で、増税反対の論陣を張らないよう大メディアへ“付け届け”を出した。

政府はすでに5億8000万円の予算をつぎ込んで昨年12月と今年1月に全国紙や地方紙に増税の全面広告を2回掲載した。さらにTPP推進名目でも全面広告掲載が準備され、3か月で10億円近い金が大メディアに配られる。これこそバラ敷きだが、新聞・テレビが批判するはずがない。

さらに今度は、民主党執行部が増税キャラバンに合流し、政党交付金(税金)まで大メディアに差し出そうとしている。

前出の広野・前民主党広報委員長が語る。

「メディアには政府広報ばかりか党の広報予算でも広告を入れてほしいという意識がある。党の増税キャラバンはその期待に応えるものでしょう。広告をもらえば、彼らは野田政権を批判しないわけですよ」

小沢氏の決起と同時に、例によってメディアの猛烈な小沢バッシングが始まることは間違いないだろう。

それこそが消費税増税の最終攻防になる。

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