小沢一郎・民主党元代表に聞く消費税と政界再編 ③…朝日新聞2月24日15面より

…前章からの続き。

ー野田佳彦首相は消費増税に突き進んでいます。

「国民に税負担を強いる前にやることがある。自民党と同じ制度に乗っかったまま、『カネがない。だから増税』では国民は理解しない。税と社会保障の一体改革と言うが、社会保障の青写真は全く示していない。それで消費増税では筋道が通らない。国民は絶対に賛成しない」

ーでも日本は借金まみれです。どうするのですか。

「予算編成は自民党時代と同じ各省の積み上げ方式で、政策の優先順位は全く入っていない。補助金と政策経費など優先順位をつけることのできる予算が毎年三十数兆円はある。いらないものを廃止すればよい。統治機構を根本から変えて中央集権体制から地域主権体制へと抜本改革すれば、二重三重の行政のムダを省ける」

-首相が消費増税を掲げて衆院を解散するとの見方もあります。

「全員道連れにして自殺するよらな行為だ。現実に支持率がどんどふ落ちてきたら、やれるものではない。ただ、首相は何とか(消費増税が)いけると思っているのではないか。気楽にしているようだから」

ーでは消費増税法案には反対するのですか。

「何もせずに消費増税というのは国民の理解を得られない。だから賛成できない」

ー閣議決定を阻止すると。

「どう判断するかはそのときだ。消費増税大綱だって(法案化に向けた)条件が付いている。国会はうまくいかないのではないか。野田さんが気付いて、初心を忘れずにもう一度努力してくれることを、私は最善の策として望んでいる」

-野党が野田内閣への不信任案を提出したらどう対応しますか。

「まだ考えていない。そもそも法案さえできてない。ただ、今の姿勢を続ければ国民の支持を完全に失う。リーダーはやっていけない」

ー野田首相に会ってアドバイスする考えはありますか。「僕は助言する立場ではない。(党員資格停止で)党大会にも呼ばれていない。党費だけは払わされているけどね」

ー仮に選挙になった場合は。
「やってみたら、惨敗だ。私が先頭に立って戦って勝ち取った政権だから、何とか成功させたいんだが、今年やっても来年やっても、このままでは民主党は勝ち目がない。心配なのは、過半数を取れる政党がなくなることだ。そうなったら、何も決められずに、日本は大混乱に陥る。そこへ大不況が来たら悲劇だ」

ーそれを避けるには。

「民主党か変わらずに(消費増税へ)突っ込むことになれば、民主党内閣、民主党自身の終わりだ。国家が混乱しない方策を考えないといけない」

ーどんな方策ですか。

「野田首相が解散するしないではなく、国民の支持がなくなり、国民が『選挙やって出直せ』となってくる。9月までには解散・総選挙になる」

-民主党がダメなら、政界再編を考えるんですか。

「民主党がどうなるかによる。選挙前にやらないとダメだ。選挙で安定した過半数の政権ができる結果を出すようにしないといけない。とにかく、国民が一番支持できる政権をつくらなければならない。なかなか大変だ」

ー党を割ることもありますか。

「歌を忘れたカナリアはいらないんじゃないの。僕らはまだ歌を忘れずに歌っている。野田さんがもう一度考えを変えてピシッとしてくれることを望む」

…次章に続く。

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