評論活動とエピソード。

 評論活動

『ソビエト帝国の崩壊』で、ソ連崩壊とその過程を10年以上も前から予言していた。後の『ソビエト帝国の最期』(1984)には富永の推薦文があり、小室を天才だと評し、「しばらくしたら再びアカデミズムの世界に戻ってくるように」とまで書いている。『ソビエト帝国の崩壊』の出版から、十数年間にわたって光文社のカッパビジネス、カッパブックスより刊行された27冊の著作群は、多くの人に愛読された。その他多数の著作がある。

 

著作数は、小室一人の著作で、内容が同じか、ほぼ同じである再出版の本をカウントしない場合、約60冊になり、共著のものは10数冊、また、再出版されたものが10冊程度存在する(19762008)

 

ロッキード事件では渡部昇一らと共に田中角栄の無罪を主張した。その論拠は、刑事免責を付与して得られた嘱託証人尋問調書は、反対尋問権を保障した憲法に反するという点にあった。

 

後に最高裁は、この論点には触れず、刑事免責に関する立法の欠如を理由に、嘱託証人尋問調書の証拠能力を否定したが、その点を考慮しても他の関係証拠によって犯罪事実は認定できるとした。

 

なお、この最高裁判決には、反対尋問の機会を一切否定する嘱託証人尋問調書は、刑事訴訟法1条の精神に反し証拠能力が否定されるとする補足意見がある。

 

著書は独特の饒舌な文体で書かれ、各分野の深い教養と、漢籍に基づく表現、一方で「二つ木魚のアホダラ経」「言うだけ谷保の天神様」といった駄洒落がちりばめられており、小室特有の文章世界を形成し、社会学・経済学の要点を分かりやすく、正確に説明している。

 

 エピソード

  会津にいた頃から秀才の誉れ高く、福島県立会津高等学校時代、数学、物理などの学力は高校教師を凌ぐほどであり 、後に政治家となる渡部恒三、弁護士の渡部喬一(第二東京弁護士会所属)と知り合う

 

 大学の経済学部の教育について、「中身が無い。自分だったら3日でやれることを1年がかりでやっている。大学で勉強するなら数学、物理など演習のあるものをやった方がいいですよ」と答えていた。

 

  他の研究者が驚くほどの読書力を持っているようで、本人の話では日本語、英語のふつうの本ならば、一時間で読んでしまうとのことで、また重要と思われる本は、最低10回は読むとのことで、学生にもテキストの徹底した精読をアドバイスしている。

 

  ベストセラーを書くまでの主な収入は家庭教師で、受験生のほか、大学の研究者(教授など)まで教えたことがあったとのことである

 

  『ソビエト帝国の崩壊』を書くきっかけは、病気で入院した際の費用の捻出に困ったためと言われていて(たとえば渡部喬一『商法の読み方』(祥伝社)など参照)、小室の才能を知る友人(渡部喬一弁護士、山本七平など)がサポートをしたとされている。

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