続き。

議決書の指摘は 邪推による妄想

 

さらに議決書は、陸山会が土地購入と前後して、小沢氏名義で銀行から4億円を借り入れていたことについて、

 〈(小沢氏は)土地購入資金として4億円を自己の手持ち資金から出したと供述しており、そうであれば、土地購入資金として銀行から4億円を借り入れる必要はまったくなかったわけであるから、年間約450万円もの金利負担を伴う債務負担行為は(中略)、極めて不合理・不自然である〉 と指摘している。

 

これも同じである。不動産購入のために、手持ち資金を使わず、銀行のローンを組むことなど、一般人でも日常茶飯事ではないか。

 

公認会計士で、自身も証券取引法違反の罪に問われ、特捜検察と戦った経験のある細野祐二氏が指摘する。

 

「まさに邪推に基づく妄想というべきです。事業者であれば、いくら預金でまかなえても、運転資金が枯渇する恐れがある限り、手元に現金を残しておきたいと思うのは当然。そんな常識的な借り入れに対して『利息分を損してまで借り入れをするのはおかしい』というのは言いがかりです」

 議決書は、土地購入資金4億円をめぐる小沢氏の説明が、当初の「銀行借り入れ」から「自己資金」などと変遷したことについて、

 〈著しく不合理なものであって、到底信用することができない〉

 とも断じている。

 

これもたとえば、サラリーマンが銀行ローンでマンションを買って、給料から毎月銀行へ返済しているとする。彼は、マンションを銀行ローンで買ったとも言えるし、自らの給料で買っているとも言える。

 

 陸山会の場合、小沢氏個人が立て替えた資金で土地を買った後に、陸山会がローンを組んで小沢氏個人に返済、銀行ローンは政治献金で返済しているーという構図を考えれば、一概に説明が変遷したとはいえないだろう。

 

 いずれにしても小沢氏が強制起訴されるのは、こんな程度の「犯罪事実」で、しかもその犯罪の「共謀」が認められるとされたに過ぎないわけで、小沢氏側か当初から主張しているように、ふつうならば「修正」で済む程度の話である。

 

小沢グループの山田正彦・前農林水産相も、納得がいかない様子でこう語る。

「私も10年ほど前に収支報告書に虚偽記載があったと新聞に写真入りで報道されたことがありました。しかし、すぐに修正申告をしてことなきを得ました。こんなことは政治家を長くしていれば、誰でも一度や二度は経験することです」

 

それが、なぜ「小沢金脈」などと言われるようになったのか。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください

前の記事

今週号の週刊朝日から。

次の記事

最終章。