先週号の週刊朝日誌上…白眉と言っても良い…カームラ氏の論文をお読みください。
カームラ氏の、この論文も、大半の国民には読まれていない訳です…なにせ、たった26万部の発行部数ですから。
10月4日から約2週間、北海道から九州まで、総移動距離6600キロの出張に出ていた経済産業省官房付の古賀茂明氏(55)は、日程最終日の15日朝、急遽、東京に呼び戻された。
この日、参院予算委員会で質問に立つみんなの党の小野次郎氏が、民主党の公務員制度改革について意見を聴くため、政府参考人として招致を求めたからだ。
古賀氏は永田町、霞が関では「筋金入りの改革派」として知られる。自民党政権末期には、国家公務員制度改革推進本部事務局の審議官を務め、それまでビクともしなかった霞が関改革を強力に推し進めた。
参考人となった古賀氏は、半ば不思議そうな顔でこう語った。
「天下りがいけないという理由は二つ。そのポストを維持することによって、山のようにムダな予算が作られることと、場合によっては、官製談合など法律に違反するような癒着が生まれること。私か公務員事務局にいたころ、(野党だった)民主党が非常に強く批判していたことが、(民主党政権になって)堰を切ったように実施されている」
昨年12月、古賀氏は、公務員制度改革相(当時)だった仙谷由人官房長官に“更迭”され、古巣の経産省へ戻された。その後は官房付として、省内の他の官僚との接触さえ遮断されるような。“幽閉生活”を送ってきたことは、カームラが本誌7月30日号でリポートしたとおりである。
民主党の公務員制度改革は、天下りを「現役出向」にすり替えるなど、後退の一途だ。古賀氏は、その問題点を雑誌に論文を寄稿するなどして訴えてきた。
すると、この臨時国会が始まる直前になって、いきなり冒頭の長期出張を命じられたのだ。「この出張は、臨時国会で質問に立つ野党の改革派議員やメディアが、古賀氏の知恵を借りられないようにするための。“島流し”でした」(経産省関係者)
肝いり予算案は最低のホチキス
古賀氏を四国から呼び戻した小野氏は、予算委員会で古賀氏を紹介する際、こう強調した。「これ(古賀氏の出張などの経緯)が本当なら、大人の世界の陰湿なイジメではありませんか!」
小野氏は、公務員制度改革に関する質問では仙谷氏の答弁を求めず、尖閣問題の質疑に移った。ところが、その答弁に立った仙谷氏は、自らこう言及した。
「今回の、古賀さんを現時点での彼の職務と関係のないこういう場に呼び出す小野議員のやり方は、甚だ彼の将来を傷つけると思います。優秀な人であるだけに大変残念に思います」この発言に、場内からヤジが噴出した。
「理事会で(参考人招致を)決めたことがおかしいとは、なんじゃそれは!」
「恫喝じゃないか!」参院予算委の衛藤晟一理事(自民)が言う。
「心配そうな顔をして脅すなんて、まるでヤクザのようなやり方です」
古賀氏が指摘した民主党政権下の天下りの実態に関する本質的な議論はせず、古賀氏を呼んだこと自体を問題視してみせる。この手の。“すり替え”戦術は、従来、エリート官僚の得意技だったはずだ。しかし、今や、仙谷氏の右に出る官僚はいないのではないか。
この戦術は他の閣僚にも、しっかり見習われている。
前原誠司外相はじめ多くの民主党議員はこう抗弁している。
「天下りをして退職金を何度ももらったり、公益法人で高給をもらったりしていたことに比べるとマシだ」 しかし、野党時代の民主党は、「天下り法人に流れているのは数兆円の人件費だけではない。事業費なども含めると全体で12兆円の税金がつぎ込まれている」と再三再四言っていたではないか!
「それどころか、現役出向のほうが本省での発言力が強いので、癒着が生まれる機会が増える可能性すらあります」(原氏)
今国会では、仙谷氏が菅直人首相に代わって答弁する場面が頻出。そのたびに。
「仙谷総理か!」とのヤジが飛んでいる。
12日、衆院予算委員会で自民党の河野太郎氏は、民主党政権発足後も「裏下り」、つまり事実上の天下りが横行していることを指摘し、
「なぜ、これを現行の再就職等監視委員会でチェックしないのか」と質した。すると蓮舫・公務員制度改革相はこう答弁した。
「(自民党政権下でできた)再就職等監視委員会には (天下りの)斡旋承認機能がついていたため、我々は委員会として適切ではないと反対していた」これについて、元国家公務員制度改革推進本部事務局企画官で、政策工房社長の原英史氏はこう解説する。
「監視委員会の斡旋承認機能は、昨年3月の政令ですでに消滅しています。現在、監視委員会を使わない理由には全くなりません」