羽田空港国際化で加速する日本の没落…
では、羽田が成田に代わってアジアのハブ空港になれるかといえば、前述のとおり課題山積だ。
羽田の国際線便数は今後最大に増えても成田の3分のIほどしか割り当てられない。全日空は羽田の豊富な国内線を使って、地方客を羽田発の国際線へ集める「内際ハブ」を目指すが、韓国の航空会社は、「地方空港には仁川からの直行便が入っている。羽田経由便より安く飛ばせる」と余裕しゃくしゃくだ。
羽田国際化で、日本人の海外旅行はたしかに便利になる。しかし、アジアの空港間競争では、成田と羽田がバラバラに便や就航先を食い合い、仁川などの海外空港がアジアのハブ空港になる好機を与えている。
すみ分けをする国家戦略が不在
その兆候はすでに出ている。大韓航空は毎日、羽田-仁川便を出す。日系航空会社の担当者が解説する。「大韓便で朝6時25分に羽田を出発すれば、午前9時半以降に仁川を出発する便に乗り継げる。成田から直行便のない天津や煙台など中国の地方都市やカトマンズなどへ、手軽に行くことができます」
さらに、ウラジオストクへの成田便は夕方着だが、仁川経由便なら昼間のうちに到着できる。
これまでも仁川は日本の二十数力所の空港から日本人客を集めてきたが、羽田の国際化がその競争力をさらに高める皮肉な結果となりつつあるのだ。