♪Killing Off Our Friends♪

…ひょっとしたら考えているかも知れないが。

 

一昨年だったと思う。まさに錦秋の休日に、一人で嵐山を散策していた時の事、

ここには整然とした住宅地が在る事は御存じだと思う。この時、人通りの少ない家の前に、立派な大型犬が鎮座していた。手前の池を通して、全山、燃え上がる様な、嵐山の紅葉を眺めているとしか思えない風貌で、じーっと、凝視しているのである。目の前にいる僕や、三々五々、通ってゆく観光客など、全く眼中にないのである…大型犬だから「可愛い…」等と言って、若い娘たちが駆け寄る事もないから、尚更、良かった。

 

僕は、かれは瞑想にふけっている…哲学しているとしか見えなかった。しばし、この犬の風情を、僕も凝視していたのだが。

 

あれは、どうみても、己の人生、移り変わる季節…やがて雪が降り、寒風が吹きすさび、春が来て、暑い夏が来る…これを繰り返したのは何度目だろう…季節の移り変わりとともに、自分も年老いた…やがて来るはずの、己の死期を想っていた。と、芥川には見えたのです。

 

 

注:この文章を書き上げた時、僕の脳裏に、ある音楽が流れた。

Killing Off Our Friends♪(The Coast)だった。

歌詞は、…俺たちは、岸辺で別れた…曲がり角で右に行くべきか、左に行くべきか迷い、立ち止った…We’d been killing off our friend. We’d been killing off our friend. We’d been killing off our friend.

 

©芥川賢治

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