カームラの検証は、さらに続く。
中略…
その一方で、「ムダを削らず一般会計に移せば、一般会計を所管する財務省に天下りなどの利権が移るだけ」(経産官僚) といった懸念の声もある。
元経産官僚で慶応大大学院教授の岸博幸氏が言う。
「事業仕分けは結局、財務省対事業官庁のせめぎあいの構図でしかない」 つまり、国民不在の議論ということか…
中略…今回の仕分けのように「特会自体を廃止する」といった派手な結論は出ていない。だが、特会ごとに廃止、合理化できそうな事業が洗い出され、一般会計に無理なく繰り戻しができる金額は、なんと「5兆1965億円」とされている。
ところが、この報告はその後公表されず、鳩山政権とともに、“消滅”した。検証チームの一人が言う。「我々の検証では、特会の事業の中身を精査し、ムダを削ることに力点を置きました。5兆円はその結果でした。今回の事業仕分けのように、ムダを削らず一般会計化したり、独法に丸投げしたりするようなずさんなことはしていません」
仕分け人が、検証チームの作業結果を参考にしようとした節もない。
「少なくとも私は、特会の件では今回の仕分けチームの人と話していません。全部、あたしが仕切らなきや意味がないのよ、つてことだったんでしょうかね」
有権者からしてみれば、こんなやり方こそ仕分けられるべきではないか。
しかも、過去の事業仕分けで「廃止」とされた事業があちこちで復活している。
農道整備事業は「廃止」とされたのに、「農山漁村地域整備交付金」として復活した。国立大学財務・経営センターは「すべての事業を廃止すべき」とされたのに、その後の文科省の判断で復活した。
ワーキンググループBのとりまとめ役、長妻昭筆頭副幹事長は、かつての仕分けで問題視された公益法人が議論に登場するたびに、「いつ解散されて、いつたまり金を返してくれるんですか!」 と迫ったが、「法律で守られている組織に対して、法的根拠がまったくない『判定』をしても意味がない」(高橋氏)というから、むなしい限りである。