そしてカームラは真相…深層にたどりつく。
増税への布石か埋蔵借金を強調
中央大学の野村修也教授が言う。
「事業仕分けは、会計監査なのか予算査定なのか不明確です。しかも、民主党政権が描く国の将来像が固まっていないから、仕分けの基準がはっきりしない。結局、いったん仕分けても、判定結果に反対する人たちの言い分か残り、復活してしまう」 まるで、モグラたたきのようなものなのだ。
「いったんは『なくすよ』と言って相手にショックを与え、その後、復活させて恩を売り、権力の集中を図っているようにさえ見えます」(野村氏)
今回の事業仕分けでスポットライトを浴びたのは、財源捻出よりもむしろ「埋蔵借金」の存在である。
日本経済新聞は、仕分け初日の27日付朝刊で、
〈今回の事業仕分けを通じ、すべての特会の累積借入金残高が10年度末に計315兆円規模となることが明らかになる見込み〉と書いた。
元経産官僚で『官僚のレトリック』の著者でもある原英史氏が鋭く指摘する。
「この仕分けの裏には、財源がどこにもないという “結果”を出し、増税への布石にしようという財務省の意図があるのではないか」
特会に本格的なメスを入れようとすれば、特会のカネで維持されてきた独法や公益法人の人事の問題に手をつけざるを得ない。
つまり、天下りの温床をたたきつぶすのが本来の目的だったはずだ。ところが、公務員制度改革の議論は全く進んでいない。天下りは事実上、野放しになっている。
蓮舫氏は今回の仕分けでも、役員ポストが国家公務員OBの指定席になっている財団法人を見つけて、
「まさか代々続いてないでしょうね!」
と声を荒らげた。だが、「(ポストを)一代飛ばしたり、入れ替えたりすればいいんでしょ」(ある官僚)と足元を見られている。
民主党の地方議員は自嘲気味にこうつぶやいた。
「あと3年、ずっと事業仕分けをやっていたら、何もしないうちに政権が終わってしまうよ」
民主党政権そのものが近々、仕分けされてしまうのではないだろうか。
本誌・川村昌代