国家の方針はよく変わるから 想像力で豊かなイメージを
2009年5月15日号の週刊朝日誌上での、大江健三郎大人と故・井上ひさし大人の対談からの抜粋です…週末の夜に贈ります。黒字化は芥川。
井上 加藤周一さんはいつも年表をもって歩いていました。僕もそのまねをしていつも、もって歩く。とても便利です。加藤さんから学んだことは、常に年表でたしかめること。
大野さんは、あらゆる辞書を最低50ぺージぐらいお読みになるらしいですね。それでこの辞書はいい辞書だ、つまらない辞書だと判断なさっていた。こうしてみると、僕は、いろんな人たちからいろんなことを教わりながら仕事をしてきたように思います。
加藤さんは「10年ぐらいで国家の方針なんて変わるものだ、その国家に忠誠なんて成立しない」とも言われていました。ですから、覚えておくことが大切です。大江さんの言われる想像力をつかって、たえず何に対しても豊かな、可能性もいっぱい含めたイメージをつくっていくということが、アジアで生きていく中で大事だと思います。