最後。
…中略
石川知裕衆議院議員が裏ガネを上地購入資金に回し、しかも小沢幹事長の指示もあったーそんな二人の共謀を疑わせる何らかの客観的な証拠を、検察は握っているのだろうと私は予想していた。ところが、共謀にまつわる証拠は何ひとつ出てこない。これにはガクッときた。たいした証拠もないのに、なぜ検察は石川議員を逮捕したのだろう。
2010年1月15日といえば、通常国会が召集される三日前だ。こんな時期に、現職の国会議員を逮捕するとは尋常ではない。石川議員は任意の事情聴取で事実関係を認めていたのだから、いつでも起訴できた。容疑者の逮捕要件とは、①逃亡、②証拠隠滅の二点だ。国会議員には逃げも隠れもする理由はないのだから、逮捕までする必要はなかったと思う。
…中略
この戦いは、検察の敗北だと早計する人もいるだろう。だが私は、検察が負けたとは見ていない。検察は裁判が始まる前にして、すでに勝っているのだ。検察のリークにより小沢幹事長は「大悪人」に仕立て上げられた。その結果は、世論調査の推移を見てみればわかる。共同通信社が2010年4月28・29日に実施した世論調査では、以下の結果が出た。
「小沢一郎は幹事長を辞めるべきだ=83・8%」
「小沢一郎は幹事長を続けてよい=10・3%」
小沢氏は幹事長を辞任すべきだという世論が、八割を超えているのだ。
巨大な敵である小沢一郎を起訴しようが起訴できまいが、すでに検察の勝ちなのである。
…以下略。