クルシミマスとして二条城を訪れたことはご存知の通りじゃが、
家康殿、人間の記憶は実におかしなものじゃのぉ。 うむ。 わしが貴公と40年以上を経て再会したのは、あのクルシミマスのじゃった。 たしかに。あの日のお主はこれ以上ないぐらい、この世の悪に苛まされておったのぉ。最後の頃に、やっと、悪霊を退散させたわけじゃったのぉ。お主の人生でも最長、最大の悪との闘いの様じゃった。それでわしは余計にお主と一緒に居たのじゃ。あの日、たった一人で、あのような苦しみを抱えてわが城を訪ねた者は当然ながらお主たった一人じゃったからのぉ。そもそも、あの日に、たった一人で来る者はおらぬしのぉ(笑)ましてや、あの尋常ならざる苦しみを抱えながらわしに気付いたお主じゃった訳だぎゃ。
そうじゃけぇ、わしはお主の心にささやいて、翌日にお主が40数年間、その前だけを歩いくのみで…ただしその風情を、ひょっとしたら京都中で一番ぐらい何故か愛してくれてじゃったが…一度も訪問してくれなかった、わしをたてまつってくれておる寺院である知恩院に芥川殿を招いたのじゃ。不思議じゃったろう。 うむ、確かに。
そこでわしが望んだようにお主の心眼はさらに開かれ…ここでは言えぬお主の真髄の一つが花開いたのじゃったのぉ。 御意。それから青蓮院に向かうように仕向けたのはわしとお主が「お母さん」と呼んでいた今はこちらに居る女御じゃったがの。 御意。そして芥川殿はお主にしか分からぬ深さで全てを理解したのじゃったのぉ。 御意。
何故か、お主は、わしと再会した後である訳がないと思い込んで、写真がなくなったとまで思いこんで探しておったのじゃのぉ。面目ない(笑) わっはっはっ。
さて、芥川殿、まず、今、ここで、21世紀の最澄としてありとあらゆる三千世界の魑魅魍魎たち、特に前章で指弾した、この世の悪を作り続けてきたテレビ関係者に大音声で響かせい。 おう。