家康殿…。
同時に、現代人の庭ではないことも痛切に思った。…本当の意味で常在戦場の中を切り抜けてきた、家臣や領地の民衆を抱えて=その生存を=終に、この国の統治者に成った信長秀吉殿の心がどんなものであったかを、あの庭は一瞥で、芥川に教えてくれたのじゃ。
さらに話は変わるのじゃが、家康殿は、石川丈山と本阿弥光悦を、言わば密使として京の入口に配置しておったのではござらぬか。 うむ。
豊臣氏と戦うことに成ってまで統一した天下…もうこれ以上の戦乱は終わりだと、…完全にピリオドを打ったのに、…またぞろ、朝廷に取り入って内乱を企てるような大名が現れない様に、京の東と北に、ただものではない者たちを配置したと読む歴史家がいるが、…わしも同感しておるのじゃ。 うむむ。