それで三十三間堂は、どうじゃったのじゃ、芥川殿。

絶句。 うむ。それはそうじゃろ。通し矢の寺と40年も思い込んでいたような御仁が、あそこを訪れたら、腰を抜かしてもおかしくはないわなぁ。わっはっはっ。 ゴホ、ゴホ。 あれこそは、他の何処にもない国宝の中の国宝でもあるからのぉ。わしには手に取るように見えるぞ。湛慶が弟子たちを率いて鎌倉時代に完成させた、あれらの彫刻群を見て、何を思われたか。

家康殿、わしは、これは、宇治の鳳凰堂以上のものでもあるな、と。すぐに浮かんできたのはローマのサンピエトロ教会のことじゃった。同時に、キリスト教と仏教の明白な違いも思ったのじゃよ。仏教の世界観の深さ…哲理の深さを思った。 うむ。 どちらも哲理が支配していた時代あっての産物なのじゃが。…見た瞬間に、あちゃ、参った、今日見るべきではなかったぞ、と思ったほど…何故なら、養源院の後に、軽くうどんでも食べて、高台寺~圓徳院に行こうと思っていたのだから。 うむ。

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