敵が為替安で来ているのなら、こちらも対処したら良かろうが。
それがじゃ、家康殿。 うむ。 為替安競争は戦前の道=戦争への道なぞと抜かす者たちがおってのぉ。 阿呆か、そやつらは。戦争なぞをするたわけは、もうおらぬ。 せいぜいが、余程の貧乏小国だけじゃろ。戦争なんぞをするのは。 大国は、まともな国は…戦争などは二度とするものか。 戦はのぉ、国を滅ぼすだけじゃ。 御意。
為替安競争なぞは、言わば駆け引きじゃろう…押しくらまんじゅう、綱引きの駆け引きじゃろうが。 駆け引きには駆け引きで対処すればよいだけの事。駆け引きや懐柔は、これ外交の要諦じゃろろうが。国が違えば顔も違う、顔が違えば心が違うのじゃから、いかに味方につけるか、そこに、わしらが腐心してきたことは芥川殿なら、良くご存じじゃろ。 御意。
なのに、何故、こんな有様になっておるのじゃ。あの時の薩長の雑兵どもの過ちが全てじゃろぉ。 うむ。 尊王攘夷のぉ。 阿呆なことをしたのものじゃのぉ。 芥川殿。 徳川幕府が終焉を迎えていた事は、各藩の幾多の俊秀たちは、皆、知っておったのにのぉ。お主が先日引用していた河井継之助なぞは、名将の中の名将だったのにのぉ。実に、たわけた事じゃ。
それにじゃ、あのような国家消滅の危機にまで至らしめたのに、いまだに、その事に気がつかず、その流れの中で、維新じゃとか、開国じゃとか言っておるとは、日本は、ただに明るくなった…皆、「便所の100ワット」、と化して、頭がパーになっておるのではないか。
わしらの様に、哲理に思いを致し国家の計を考えるような者を、何故か叩き続けて来た、このマスメディアと言うものは、一体、どうして出来あがったのじゃ。 わしは、これほど阿呆なことはないと思うがのぉ。 御意。 全てはお主が言うように、あの時の間違いが、ずーっと、体制として続いてきておったんじゃろうのぉ。 何故、言論界がそこにどっぷり浸かっているのか、わしには分からんぞ、芥川殿。 今しばらく、お待ち下され。
しかし、お主に手を上げて来てくれる者を待っていたのでは日が暮れてしまうがゃ。 うむ。