それとじゃ、家康殿。 うむ。
妹が持って来てくれたものの中に、中学校の新聞が3枚ほどあったのじゃよ。 うむ。 なんでこんなものがあるのかなと思って見たら、わしが学校から書かされた物が載っておったからなんじゃった。 うむ、それは亡くなられた父上に感謝しなければならぬぉ。 御意。 それで気が付いたのじゃが、さっき清書したものの記憶が全くなかったのは、この時に2.3枚書いたのじゃな。これはボツにしたから記憶になかったのじゃよ。 うむ。 それなら、その掲載された方を読ませてくれんかのぉ。 うむー。 どうしたのじゃ。 何分、中学生のものじゃからのぉ。良いではないか。それはそれ、これはこれじゃ。 御意。それでは、そうしようかのぉ。 そうして下され。
芥川殿の読者には小学生の女の子もおったではないか。 御意。
野の百合となって -後輩のみなさんへー 三の三 芥川賢治
何ゆえに
この世の中を
微笑と幸で満たすことが
むずかしいのでしょう
何ゆえに
苦しみにゆがんだひととき
あせりにかりたてられる
ひとときがあるのでしょう
しかし
時はそうした人の疑念など
おかまいなしに
正確に過ぎていきます
でも
そのひとときはあなた方にとって、
大切なひとときではないでしょうか
自分が人であること
生きていること
それを真に理解できる
大切なひとときですから
私はねがう
後輩のみなさんが
あらゆる人を知り
あらゆる人と友となって
あらゆる人に微笑みかけて
自分のどんな苦しみにも
あせりにも負けず
正しく強くそして明るく
まっすぐに生きていくことを
生きた野の花の百合となって
この学び舎を
微笑みで
うずめてくれることを…