シュンペーター伝 トーマス・K・マクロウ著…3月6日、日経読書欄から。
評者:スタンフォード大学名誉シニアフェロー 今井賢一
19世紀末のウィーンが生んだ知の巨人、社会科学のレオナルド・ダヴィンチたることを志し、かつ実現した経済学者の伝記である。…中略。
その現代的な声は、まさに日本が抱えている問題を巡って「語りかけ」ているように響く。彼が育年時代を過ごしたオーストリアは現在の日本と同じく、古いものを不断に破壊しながら、新しいものを不断に創造しなければならない時期であった。…中略。
そういう事態を座して見過ごすことの出来なかった若きシュンペーターは政治に参加して大蔵大臣となり、投資家としても経済に直接関与するが、その政治にも投資にも裏切られ、自己破産し、さらに母、妻、新生児の死という不幸に襲われる。…中略。

3月6日、枳穀邸にて。