官邸は震災後ずっと、事故対応を東電に丸投げしていた…週刊朝日今週号より。
官邸は、東電の情報に基づいて事態を過小評価し続けてきた。「官邸は震災後ずっと、事故対応を東電に丸投げしていた」(経産省幹部)というのだから、それもむべなるかなである。むしろ、この東電の根拠のない自信が、菅首相を無謀かつ無意味な現地視察へ駆り立てた可能性すらある。
米国の申し出を断った背景には、霞が関、東電それぞれの思惑があった。
「霞が関は、『民主党政権が掲げるCO2の25%削減には原発が不可欠』『いま世界に売り込んでいる日本の高級原発のブランドに傷がつく』と思い、東電は『冷却材を投下したら、1基数千億円の原発施設が破壊されてしまう』と考えた。菅首相自身も、できれば『原発は安全』とアピールしたかったのでしょう。この相乗作用で判断が遅れていったのです」(民主党関係者)
これを人災と言わずして、何と言うのか。内閣官房の中枢が答える。
「当初、菅首相は廃炉もやむなしの方針で臨んだのに、東電の説明を繰り返し受けるうちに、日本だけで対応できると判断を変えた。それが結局、間違いだった。非常事態法を適用し、統合本部を設置したとき、菅首相は『直感を信じていればよかった』と悔やんでいました。官邸が東電に編されたわけですが、もはや後の祭りでしょう」