「原発どうする」「ちゃんとやる」岡田幹事長の10分視察…サンデー毎日より。

民主党の岡田克也幹事長が初めて被災者と会ったのは、震災後2週間以上たった3月26日になってからのことだった。
 
空路で山形入りした岡田幹事長は、福島県の被災者が多く避難してきている山形市総合スポーツセンターを視察した。正面入り口から入った岡田幹事長は真っすぐに被災者がいるフロアへ降りて行った。南相馬市から避難所に来た富谷竜一さんは、その様子を言う。
 「『おっ、さすがだな』と思ったんですが、その後にはびっくりしました」
 
避難生活が長引き、疲れがピークに達しつつある被災者に対し、「どう、元気?」「ちゃんと食べてる?」「何か困ったことない?」。

そう話すものの会話をするでもなく通り過ぎるだけ。被災者たちは、あきれ顔で口々にこう言った。
「上から目線の物言いでしたし、これでは私たちや避難所のことが何も分からないでしょう。どうして私たちの声に、もっと耳を傾けてくれないのでしょうか」 ようやく立ち止まって話をしたのは、体育館の出口付近だった。

南相馬市で塾を経営する女性(61)が声を詰まらせながら。「原発事故や健康への不安が消えません。もっと的確な情報をいただくことはできないでしょうか」と切実に訴え、86歳と84歳の夫婦は涙を浮かべながらこう問いかけた。
 「生まれ育った故郷に帰れない、この気持ちが分かりますか?」
 
しかし、岡田幹事長は「難しい状況ではあるけれど、不安がらなくていいんですよ」と曖昧に答えるばかりだった。
 
避難所のフロアにいたのは10分足らず。車に乗り込もうとしたとき、付近にいた被災者の男性に、岡田幹事長が笑顔で手を振りながら「しっかりやるからね」と言うと、男性が声を張り上げながら詰め寄った。
 
「原発を早く何とかしてください。どうしてくれるんですか」

 岡田幹事長は一瞬ひるみ、言葉が出てこない。やっと絞り出したのは、「ちゃんとやるから……」。
 
そう言うと、足早に立ち去ってしまった。
 
3時間後、自民党の谷垣禎一総裁も避難所を訪れたが、被災者と直接話しだのは15分ほど。
会場からは「これではテモンストレーション。来なくても同じ」という声が漏れた。
 
ジャーナリスト・高城龍二

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