「フクシマ」暴走 大本営発表の大罪…サンデー毎日4月10日号から。

電源が通じ最悪の事態を脱するかと思いきや、想定外の高濃度の放射性物質が流れ出すI福島第1原発事故に関する政府や東電の発表や指示は疑心暗鬼を招き、専門家からは大本営発表のようだと声が上がる。知らないうちに破局に突き進んだ愚を回避できるか。
 
「原発の事故を巡る政府や経済産業省原子力安全・保安院、東電の発表は、、最悪の事態を国民から隠した戦争中の大本営発表のように思えてなりません」
 
こう告発するのは福島第1の設計に携わった科学ライターの田中三彦氏だ。大本営発表とは穏やかではない。田中氏の説明を聞こう。
 
「政府が公表したデータを見ると、1~3号機の原子炉に海水を注入し続けているのにもかかわらず原子炉の水位はずっと低いまま。炉に注入した水はパイプを通って隣のタービン建屋にたまったり、海へ流れ込んだり、”だだ漏れ”しているとしか考えられません。政府はその危険性を隠そうとしているようにみえます」

政府などの発表によると、三つの原子炉は津波の影響で電源が壊れ冷却機能が失われため、原子炉内の燃料の熱で冷却水が蒸発し水位が下がった。燃料棒は水面から露出し、核分裂の生成物による崩壊熱で燃料棒が溶け出す「炉心溶融」が起きた。放射性物質を含んだ水蒸気や水が環境中に放出されている。

「放射性物質を含んだ水がだだ漏れ状態では電源が復旧しても炉の水位は回復しないし、放射性物質の流出は止まらない。漏えい箇所
を発見し補修することが重要ですが、原発の建屋内は放射線が強く出ている場所があり作業には時間がかかるでしょう。温度や圧力が一定しない炉の状況に2~3年間、おびえ続けなければならないかもしれません。そのような可能性を国民に知らせないことに不信感を覚えます」
 
田中氏は、政府などは溶融と水漏れを早い段階で分かっていたのではないかと疑う。1号機で3月17日夕方から19日の間に原子炉内の圧力がゼロになった。炉からタービン建屋につながる配管が損傷、放射性物質を含んだ水蒸気が抜けたことがわかるという。

「放射能の強い原子炉に通じる配管の損傷を認めると、避難範囲を拡大させなければならない。地震のせいで配管が壊れた可能畦が浮上すれば、“想定外の津波”という言い訳が通用しなくなる。『十分な耐震能力かおる』と言ってきた国や東電関係者の主張が根底から崩れる。

政府が『1号機の圧力が高くて危ない』『圧力の損傷の可能性がある』などと目前の現象だけを発表し続け全体像を示さなかったのは、こうした思惑があっだのではと勘ぐりたくなる」
 
局地の戦況のみを発表し、敗戦に向かっていることを知らせなかった戦争中と同じというわけだ。
 
井野博満・東大名誉教授も、原子炉周辺の状況を政府や東電は早くから認識していたのではないかと言う。

…以下略。

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