復興対策 組織乱立…今朝の朝日新聞4面から。
官邸の体制整備急務
東日本大震災の復興プラン作りで、首相官邸や民主党内に協議機関が次々設けられている。菅直人首相は自ら打ち上げた「復興構想会議」をシンクタンクと位置づけるほか、全閣僚による復興対策本部(仮称)も設置する意向。乱立気味で、意見集約が課題だ。
首相は1日の記者会見で「大きな夢をもった復興計画を進めたい」と表明。津波に襲われた三陸沿岸の復興策では、山を削った高台に住宅をつくるなど独自の街づくりプランを唱え、アイデアや計画を肉付けする組織として有識者や被災地関係者による復興構想会議を震災1カ月の11日までに立ち上げると語った。
政府高官は「復興に向けた総理のイメージは政府の対策本部、与野党協議、復興構想会議の三本立て」と解説する。
首相が本部長となり全閣僚を集めた復興対策本部(仮称)を立ち上げ、復興構想会議や与野党協議で出されたアイデアを集約するという段取りだ。
1995年の阪神大震災の際は約1ヵ月後に政府の復興体制などを盛り込んだ基本法案が取りまとめられ、半年後には復興計画が策定された。
今回も前例にならい、「まず組織のあり方などを盛り込んだ復興基本法案を政府案として取りまとめることになる」(内閣府幹部)という。
ただ、まだ見通しがはっきりしない。民主党が先行して取りまとめた復興基本法案では、防災復興府の新設や復興担当相ポストの設置が提案されている。
これに対して、官邸側では防災復興府について「屋上屋を重ねるだけ」との慎重論が強い。
首相肝いりの復興構想命議についても、事前に知らされていなかった閣僚から不満の声が漏れた。
野田佳彦財務相は5日、「復興に向けての哲学、理念を議論されるんだろう」と素っ気ない姿勢を示した。
さらに、政権内には緊急災害対策本部や原子力災害対策本部、被災者生活支援特別対策本部などが設置されており、既存組織との役割分担、整理が必要となる。