大連立の交渉役岡田氏にシフト…今朝の朝日新聞4面から。
自民総裁は否定的
菅直人首相は大連立を巡る自民党との交渉を仙谷由人代表代行ではなく、岡田克也幹事長に任せた。仙谷氏は首相交代を視野に入れるが、岡田氏は首相続投が前提だ。
一方、自民党の谷垣禎一総裁は5日、「政策のすり合わせもない連立はあり得ない」と表明。2大政党の垣根は低くない。
30面=統一選への影響
もともと交渉役に意欲的だったのは仙谷氏だ。官房長官時代から自公の有力議員と水面下で接触。
1月の退任後も、自ら主導して岡田氏と自民党の大島理森副総裁、石原伸晃幹事長の4人の食事会を始めていた。
自民党内には大連立の条件に菅首相の交代を求める声が強い。仙谷氏は宣房長官の退任後、首相との溝か広がり、自民党には「首相の首に鈴を付ける」(幹部)との期待もある。仙谷氏に近い議員も「仙谷さんは菅首相では大連立も復興もできないとみている」。
一方、首相は仙谷氏の動きに警戒感を深め、仙谷氏が宣房副長官として官邸に戻った後も直接話す機会はあまりないという。
そこで自民党との交渉役に起用したのが岡田氏だった。
岡田氏は根っからの2大政党論者で、大連立には消極的だった。震災直後、大連立を念頭に置いた自民党からの入閣構想を「そんな大胆な発想には立だない」と一蹴。
子ども手当を巡る自民党との協議でも「哲学が違う」とぼやいていた。
ところが4日の記者会見では「最大の意義は衆参ねじれを解消することだ」と転換した。
岡田氏は「危機的状況で総理を代えることはあり得ない」と明言しており、首相が交渉役を安心して任せたとの見方が広がる。
首相は3月に谷垣氏に入閣を打診した際も岡田氏に事前に知らせたが、仙谷氏には声をかけなかった。
だが、肝心の自民党には急速に慎重論が広がりつつある。巨額を投じる復興事業に関与するため古賀誠元幹事長らベテラン勢は大連立に意欲を見せるが、中堅・若手を中心に「大連立は首相の延命策に過ぎない」との反対論が強いからだ。
自民党の谷垣総裁は5日、小泉純一郎元首相との会談後、記者団に「野党は野党でやっていく。連立するなんて一言も言っていない」と大連立に否定的な考えを示した。
小泉氏から「健全野党のあり方を発揮すべきだ」と助言されたという。
公明党は大連立で埋没することを警戒。山口那津男代表は「与野党協力は重要だが、大連立にどれはどの意味があるのか」と発言している。
谷垣氏は公明党との協調を重視し、配慮せざるを得ない面もある。