誰もが、妙な顔をしているな、と思っていたのではないか。
(文中敬称略)
もし、心が真っ白な無私無欲の人=本物の政治家=Statesmanならば、この様な時には、全国民が、それこそ感涙に咽ぶほどの名演説が打てるはずだった時に、
現首相は、皆様方が良く御存じの様に、妙な顔をし続けていて、或る、確かな週刊誌の取材に依れば、「言葉が浮かんで来ないんだよな」、等と言っていたとは既述の通り。
ぶら下がり取材に全く応じなくなった事、こんな時のなのに、連日、さっさと公邸に帰っていた事。…周囲が「これで良いのだろうか」と、心配していた事についても同上の通り。
今に成って見れば、彼が何を考えていたのかは、全てが分かるではないか。
周知の様に、彼は口が軽い男であることは、参議院の時の、突然の消費税10%増税発言と、それ以降の二転三転の話しぶり…彼は自分がマイクを向けられると黙っていられない性分である事を、当然ながら知っていた訳だ。
だから、この1ヶ月、何回かの恰好つけの記者会見…これも原発の事については、一切答えず、官房長官に任せた振りをし通した…あれらの時の、一体、どうして、こうなんだろう…普通の人間なら、こんな時こそ、心底からの言葉が出てくるはずじゃないか。
考えても見て下さい…被災者の方たちの言葉が世界を唸らせ、大きな感動を与えたのは、彼らの中の誰一人…当然ながら…嘘を付いたりする人間はいなかったからだ。
心のそこからの悔しさだとか、無念さ、そういうものがにじみ出ていたから、世界は感動したのである。
つまり、管直人の頭の中に在ったのは、言わば、原発スケジュール…その実態を明らかにするのは、この日だという日程表だけだったのであろう。
そう思えば、誰もが、彼の表情や発言に納得がいくのではないか。
彼が、今為すべき事は、即刻辞任する事、ただそれだけだと芥川は断じる。
何故なら、彼らに対して、芥川の口から出てきた言葉は、「なんちゅう、××たちだ」
ということだからだ。
ここに入る言葉は、飢えると、おにだからだ。