東芝の10年度業績への震災による影響は軽微、原発事業の目標で遅れも=佐々木社長

[東京 14日 ロイター] 東芝の佐々木則夫社長は14日、ロイターなどのインタビューに応じ、東日本大震災が2011年3月期連結業績(米国会計基準)に与える影響について「限定的だったと思う」と述べた。東京電力福島第1原子力発電所での事故により東芝が注力する原子力事業に逆風が吹く中、2015年度に同事業で売上高1兆円とする目標の達成について佐々木社長は、「15年度にできるか、16年度以降になるか、時間をかけないとわからない」として、遅れる可能性を示唆した。

11年3月期業績予想は、売上高(6兆6000億円)と営業利益(2500億円)は従来見通しから多少落ちこむが、1000億円と見込む当期利益は少し上振れする可能性があるという。2015年までに海外を中心に39基の原子炉を受注する計画について佐々木社長は「当社がアプローチしてる顧客で(原発建設プロジェクトを)止めるというケースはない。ただ、各国の規制が変化するなどで着工や施工が遅れるかもしれない」との説明した。

2006年に約4800億円で買収した米原子力プラント大手ウエスチングハウス社について、東芝は多額の「のれん代」を資産計上している。2010年12月末で約5500億円の「のれん代その他無形資産」のうち半分強がウエスチングハウスの分。これを減損する必要性について佐々木社長は「会計監査人に見てもらって今の経営の中から減損のリスクはほとんどないと評価されている。実際の収益の源は(既存の)運転プラントと燃料から来ているので、新規プラントが少し遅延しても減損に至らないと思う」と述べた。

震災に伴う部品供給網の途絶が12年3月期業績に与える影響については、「明らかに欠損がある部品は、多方面に手配してある程度めどはついている。上半期(業績)に影響は出ても下期にはそれを取り戻せる」と強調した。主力事業の半導体では、原料シリコンウエハーと製造工程で必要な洗浄液の各主要メーカーの生産拠点が震災の影響で操業を停止し、調達に懸念が出ているが、佐々木社長はこれらの原材料について「ある程度確保できている」と述べた。
 
 (ロイターニュース、浜田健太郎 編集:吉瀬邦彦)

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