好調な工作機械受注背景にファナックが騰勢強める、指数上昇への貢献も
[東京 14日 ロイター] 工作機械受注の増大を背景にファナックが騰勢を強めている。東日本大震災の影響が比較的軽微にとどまるとの見方も安心感を誘っているという。目先は短期的な過熱感から利益確定売りが上値を押さえやすいが、アナリストの評価は高く底堅い値動きが見込まれている。同社株は指数寄与度が高く日経平均の上昇への貢献も期待されている。
日本工作機械工業会が12日発表した3月工作機械受注額(速報値)は、前年比49.5%増の1133億6500万円となった。前年比伸び率は前月から縮小したものの、16カ月連続で増加。前月比では0.6%増となっている。2011年1月以来1000億円を超える受注が続いており、中国など新興国の設備投資需要をけん引役とした好調な伸びが続くとみられている。
工作機械受注の好調が続くなか、設備投資関連銘柄が堅調な値動きとなっている。象徴的な銘柄がファナック。14日前場の東京株式市場では出来高を伴って6日続伸し、連日の年初来高値更新となった。短期的な過熱感から後場には小幅安に転じる場面もあったが、市場では「好調な工作機械受注を背景に外需けん引型の代表的な好銘柄であり、震災の影響をさほど受けないとの見方から買いが継続している」(東洋証券・情報部長の大塚竜太氏)と指摘されている。
さらに同社に対するアナリストの評価も高い。ゴールドマン・サックス証券の桜田順司アナリストは12日付レポートで「受注の拡大は各工作機械メーカーの業績に素直にポジティブに効く」としたうえで、関連部品を手掛けるファナックに対し「増大する工作機械受注を背景にNC装置の受注も拡大基調である可能性が高い」と評価。加えて「2011年3月期決算発表時に公表される単体受注高が前四半期比20%増の1200億円前後となる可能性が高く、この点を株式市場が好感し同社株のバリュエーションが更に切り上がる局面を想定する」と指摘している。
4月下旬から本格化する企業決算の発表を前に全般は手掛けにくさが漂うなか、好銘柄に物色が集中しやすいこともファナックの堅調な値動きにつながっているという。市場では「ファナックは指数寄与度が高いため、同社株価の上昇は日経平均の押し上げにつながりやすい」(準大手証券)との声が聞かれている。
(INVESTMENTVIEWS)