イラン情勢と台湾有事 ― 中国の軍事準備と日本の覚醒

イラン情勢と台湾有事 ― 中国の軍事準備と日本の覚醒

産経新聞フロントページに掲載された櫻井よしこ氏の連載コラムを紹介する。米国によるイラン攻撃、中国の急速な軍拡、海上民兵の活動、人民解放軍の大規模訓練などを踏まえ、2027年の台湾侵攻の可能性が高まっていると分析する。台湾防衛は日本防衛そのものであり、日本は憲法改正と第1列島線・第2列島線防衛の強化を急ぐべきだと訴える論考である。

以下は今日の産経新聞フロントページに、イラン情勢と台湾有事、と題して掲載されている櫻井よしこさんの定期連載コラムからである。
本論文も、彼女が最澄が定義した「国宝」、至上の国宝である事を証明している。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。

2月28日、米国がイランを攻撃した。
トランプ大統領は最高指導者のハメネイ師を殺害したと発表し、イラン国民に政権交代を呼びかけた。
米軍攻撃の凄まじさは中国にどう影響し、台湾有事へどう跳ね返るか。 
国家基本問題研究所はそれより前の2月27日、総合安全保障研究会で人民解放軍(PLA)の現状、中国共産党内の権力構造、国際情勢の観点から中国の脅威を分析した。 
結論は2027年の台湾侵攻の可能性が確実に高まっているということだった。
この切迫状況を広く共有することが大切だ。 
台湾有事の際、中国最大の関心事は米軍来援の阻止にある。
米国を支えるわが国のあらゆる行動を中国が阻止に動くのは当然だ。
その一つが海上民兵の活用である。
昨年12月下旬、2000隻の中国漁船が東シナ海に大集結した。

海を埋め尽くす船団が突然一斉に動き出し、縱470のキロメートルの線上に整列した。
今年1、2月も同様の事象が続き、その度に漁船の集結位置は日中中間線に近づいていた。 
これは筑波大助教で中国フロンティア戦略研究会の毛利亜樹氏が、国基研研究会で発表した。
毛利氏は大群の漁船は習近平国家主席の指示に従って海上民兵としての訓練を受けていたと指摘ずる。
毛利氏は今年4月からの計画に従って、海上民兵の活動は東シナ海に拡大され、海上保安庁や海上自衛隊の艦艇が数子隻の漁船に阻まれる事態もあり得るとした。
これでは有事の際、米軍との協力も米軍支援もままならない。 
米軍を排除して東シナ海を自らの勢力圏とする中国の意図は、国基研の中川真紀研究員がまとめた25年の人民解放軍の訓練実態が詳細に示すところだ。 
昨年12月、南部戦区の強襲揚陸艦編隊4隻がパラオ北方の海に展開した。
同じ頃、北部戦区所属の空母遼寧編隊が西太平洋で連携する動きを見せた。
北部、南部両戦区が協力して米軍の第2列島線(小笠原諸島~グアム)接近を阻止する態勢を強化したとみられる。 
訓練は全軍で実戦に即して行われている。
一例が空軍だ。
パトロールにはH-6爆撃機や空中補給機が参加し、彼らはいつでもパトロールから台湾攻撃や第1列島線(日本列島~フィリピン)以東への実戦攻撃に移れる態勢にある。 
ロケット軍の実戦訓練も陸軍の上陸訓練も徹底して繰り返されている。
第2列島線への米軍の接近を阻止し、その間に台湾上陸を果たす強い意志が現実の軍事訓練、新たに投入され続ける装備の数々から読みとれる。
準備の徹底ぶりは想像をはるかに超える。 
国際社会は2027年に、中国の習近平国家主席が台湾侵攻に踏み切る可能性が高いと予測してきた。
昨年12月、米国は国家安全保障戦略で米国が「アトラス(天球を支える神)のように世界秩序全体を支える時代は終わった」と宣言した。
また、今年1月の国家防衛戦略では、米国が重視するのは西半球の防衛であり、中国に対しては「力によるインド太平洋における抑止」であるとした。 
力による中国抑止の考えはベネズエラ、イラン両国への攻撃を通しても読みとれる。
米軍の力を余りにも鮮やかに見せつけた今、習氏はどう動くと見るべきか。
私たちが最も留意しなければならないことは何か。 
2月27日の国家基本問題研究所の総合安全保障研究会で、双日米国副社長の吉田正紀氏は中国の政軍関係の乱れを懸念した。  
「適正な政軍関係が維持されていれば、習氏の決定への異論も許されるが、中央軍事委員7人中5人が追放された中で、習氏に意見具申する者はいなくなった。習氏の決定が即決行される状況が出現した」 
諌言(かんげん)する人物は誰もいない。
まさに絶対的権力基盤を築いた習氏の弱点である。 
今年は米中首脳会談が4回予定され、いわぱ嵐の前の静けさが続く可能性が高い。
だが、台湾侵双に備えた中国の態勢づくりは、海上民兵として訓練された漁船から人民觧放軍(PLA)まで、27年までにさらに進むだろう。
軍事的準備の進捗(しんちょく)は習氏の目信を強めるだろう。 
また、27年は習氏にとって中国共産党総書記4期目に入る節目の年だ。
習氏が自らに課す歴史的便命としての台湾統一を強く意識する可能性は高い。
西側世界の足並みの乱れも習氏の自信を強めかねない。
私たちは本当に危険な局面にある。 
この局面でわが国がすべきことは明らかだ。
台湾を守ることは日本を守ることであり、さらに白田主義陣営を守ることだ。
米国を支える過程を日本再生の道と重ね、戦後ずっとできなかった課題に着手するのである。 
第一の大きな課題は憲法改正であろう。
そして喫緊の課題は岩田清文元陸上幕僚長が強調するように、台湾有事に備えて第1列島線、第2列島線の守りを強化することだ。
米軍の展開を可能にするためにわが国の東側、太平洋側の軍事的空白を早急に埋めることだ。 
南烏島、小笠原諸島、硫黄島、南大東島などに長距離のドローン拠点や対空レーダー、電子戰誌備を置くことによって、太平洋を中国やロシアの艦船、潜水艦が差配する海にさせないことが第一であろう。 
来年、習氏の台湾侵攻があるとの厳しい前提に立って、わが事として国防を考える時だ。

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