中国の宇宙軍事戦略と衛星破壊能力。北斗35機計画が意味するもの。

中国が推進する「宇宙強国」戦略と衛星破壊能力を分析する。
2007年の衛星破壊実験を起点として、中国が宇宙戦争の時代を開いた可能性を指摘し、北斗衛星網35機による地球規模の監視能力の構築が国際安全保障に与える影響を論じる。

2019-02-01
彼らの「宇宙強国」計画では、20年末までに中国版GPS「北斗」の35機打ち上げが決定されており、中国は全世界に「監視の目」を持つことになる。
以下は前章の続きである。
ミサイルで気象衛星を破壊。
ロシアはすでに少なくとも二度、人類にサイバー戦争を仕掛け、ロシアに反対する勢力を倒し、国土を奪ったわけだ。
月に手を掛けた中国は今後、ロシアを上回る規模で本質的に同様の行動に出ると心得ておくのが正しい。
外交・安全保障の専門家で中国問題に詳しい小原凡司氏も「言論テレビ」で、「宇宙戦争の幕を開けたのは中国」だと明言し、その始まりは12年前に遡ると指摘した。
嫦娥1号の月周回と同じ07年、中国は高度850㌔にあり、すでに寿命が尽きていた自国の気象衛星を地上発射のミサイルで破壊してみせた。
このとき世界は本当に驚いた。
「あの驚きは、中国が衛星破壊能力を身につけたためではありません。
そういうことを中国は本当にやるのだ、ということで驚いたのです」。
小原氏。
冷戦後、米露両国は互いの衛星を破壊することはしないという暗黙の了解に達していたのだという。
衛星の破壊は、相手の目や耳を潰すことだ。
相手の状況を見ることができず、通信もできない。
自分たちが偵察に行っても情報も入ってこない。
当然、疑心暗鬼に陥り、恐怖心に駆られる。
衛星を破壊されたうえで攻撃されればどうなるか。
衛星なしには精密なピンポイント攻撃は不可能であるから、まともな反撃はできない。
そこで大量破壊兵器で広い範囲を一挙に潰そうという悪魔のささやきに乗せられてしまう。
かくして核兵器使用の動機が高まり、人類を悲劇に陥れる。
このようなことが十分考えられるため、衛星破壊はしないという暗黙の了解が生まれたと、小原氏は語る。
「その暗黙の了解を破ったのが07年の中国だったのです。
彼らは本当に戦争する気なのかと、国際社会は驚きました。
さらに中国は13年までに、高度3万キロから4万キロの、いま最も高い軌道にある静止衛星の破壊能力を確立したと言われています。
静止衛星も含めて地球を周回している衛星のほぼすべてを破壊する能力を、彼らは手にしたと見られているのです」。
中国共産党中央委員会の政治理論誌『求是』の10年12月号には、次のように書かれている。
「衛星への攻撃は米国を攻撃する最も効果的な手段だ。
速やかに宇宙兵器開発の努力をすべきだ。
最終的に人工衛星からミサイルを発射できるようになれば、米国はどこにも隠れる場所がないと知るだろう」。
アメリカを標的にして屈服させようという意図は明らかだ。
このような意図が、少なくとも中国の軍事戦略の司令塔である中央軍事委員会の下で発表されている。
彼らの「宇宙強国」計画では、20年末までに中国版GPS「北斗」の35機打ち上げが決定されており、中国は全世界に「監視の目」を持つことになる。
この稿続く。

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