つまり、一般国民が「われわれは日帝という悪魔と勇敢に戦って勝利した」と思い込んでおり、その神話の守護者なので、覆すのは容易ではなくなっているのだ。—なぜ嘘の国史は継承され、反日神話は固定化したのか—

本稿は、李承晩亡命後から朴正煕、全斗煥、盧泰愚を経て韓国の民主化以後に至るまで、なぜ反日を核とする虚構の国史が修正されることなく継承され続けたのかを論じるものである。
筆者は、韓国が日本の莫大な資金援助と技術協力によって二度も貧困から脱したにもかかわらず、朴正煕政権が日本を絶対悪とする教育を改めなかった点に注目する。
その背景には、軍事独裁政権が内部の不満や憎悪の矛先を逸らすため、「人民の敵」としての日本を必要とした事情があったとされる。
さらに「我が民族は昔から偉大だった」という自尊史観が加えられ、日本を文化的後進国として相対化しつつ、韓国人の優越感と被害者意識の両方を育てる異様な歴史教育が形成されたと指摘する。
民主化後も四十年に及ぶ対内プロパガンダによって「偽の記憶」は既成事実化し、国民自らが建国神話の守護者となったため、その虚構を覆すことは容易ではなくなったと結論づける論考である。

2019-03-18
つまり、一般国民が「われわれは日帝という悪魔と勇敢に戦って勝利した」と思い込んでおり、その神話の守護者なので、覆すのは容易ではなくなっているのだ。

以下は前章の続きである。
なぜ嘘の国史が継承されていったのか?
李承晩亡命の後、韓国はしばし混乱したが、最終的に権力を掌握したのが朴正煕だった。
周知の通り、彼は旧軍将校の出であり、日韓基本条約の締結によって両国関係を正常化させ、日本から莫大な資金を獲得した。
朴は鉄鋼や石油化学などの重工業の育成と社会インフラの拡充を行い、「漢江の奇跡」と称される高度経済成長を実現した。
もっとも、国家予算の倍以上に及ぶ日本の資金と、使命感をもって手取り足取り技術やノウハウを教えてくれる隣人がいれば、(中略)
こうして韓国は、一度ならず二度までも、日本の援助と協力によって、貧困から脱することができたのである。
だが、朴正煕大統領もまた、日本を絶対悪とするプロパガンダを修正することはなかった。
彼は反政府的なデモや運動を徹底的に弾圧したため、一部の市民からは怨嗟の的になった。
必然的に内部の軋轢を生む軍事独裁政治にとって、人々の憎しみや不満の矛先を反らせる対象は不可欠である。
北朝鮮とか共産主義者では役不足だった。
だいたい反政府的な者はそのシンパが多かったのだ。
思想の区分に関係ない「人民の敵」を必要とした。
そういった政治的な思惑からか、朴正煕は日本悪魔化教育をそのまま引き継いだ。
さらに日本の経済援助による成果もすべて自分の功績にしてしまったのだから、日本で一般に信じられている人物像とは違い、あまりフェアな人物だったとは言い難い。
いや、それどころか、どうやら余計なものを公教育に付け足したらしい。
それが「わが民族は昔から偉大だった」式のプライドの醸成である。
つまり、自尊史観を強化したらしいのである。
(*ただし、これに関しては手元に資料がなく、あくまで伝聞である点をお断りしておく)
しかし、それは裏を返せば日本を「文化後進国」と貶めることでもあった。
というのも、他者との比較によって自民族の優秀さが浮かび上がるわけだが、その対象は当然、中国ではありえず、古代・中世の日本だからである。
韓国の子供たちは、「先祖が日本人に○○を教えてあげた」とか「昔は日本よりも進んでいた」と教えられる。
韓国が伝えた先進文化として挙げられるのが、古代には稲作・織物・建築・仏教・紙・文字、秀吉の侵略時には陶器の製作技術、江戸時代には朝鮮通信使による医学・儒学・書画などだ。
こうして、日本との相対化によって「明治維新までは韓国のほうが文化先進国だった」とか、「わが先祖は野蛮な日本人を文明化させた先生である」というふうに、民族的な優越感を持つようになる。
そこへ秀吉の侵略や近代日本の侵略を大きく取り上げるわけだから、当然、「恩を仇で返された」と憤慨するようになる。
こうして、現代にいたる、日本に対する優越感と被害者意識の両方を育むような「おかしな歴史教育」の基礎が完成する。
その後に大統領になった全斗煥・盧泰愚も、朴と同じ陸士系列であり、反日教育を引き継いでいった。
理由はやはり上と同じようなものだろう。
軍事政権はどうしても人々の憎しみを引き受けてくれる対象を必要とする。
ましてや全斗煥は、いきなり光州事件のような市民の弾圧を行った人物である。
また彼は、朴のような奇跡をやりたくて、日本から巨額の経済援助を引き出そうとした。
そのための手段として、教科書問題で因縁をつけにかかった――そういう男がなんで反日教育を修正するだろうか。
1988年、韓国はようやく民主体制に移行した。
建前では、思想言論の自由もほぼ保障された。
しかし、40年にわたる対内プロパガンダによって「偽の記憶」が完全に既成事実化しており、もはや手遅れになっていた。
韓国人はすっかり「建国の父」と精神的に一体化していたのである。
今や独立運動家たちが韓民族のアイデンティティなのだ。
つまり、一般国民が「われわれは日帝という悪魔と勇敢に戦って勝利した」と思い込んでおり、その神話の守護者なので、覆すのは容易ではなくなっているのだ。
この稿続く。

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