日韓議連は無用の長物である――韓国はもはや日本のパートナーたり得ない

2019年8月4日発信。月刊誌Sound Argument掲載の阿比留瑠偉氏の論文を紹介し、韓国向け半導体材料の輸出管理強化、慰安婦合意、元徴用工訴訟、レーダー照射問題、日韓議連の弊害を通じて、韓国との関係を根本から見直す必要を論じる。

2019-08-04
かつては同じ西側自由主義圈の一つである隣国として重要視してきたが、実際はそうではないと分かった今、どう扱うべきなのか。
日本国民の意思は、すでに固まっていると言えよう
以下は月刊誌正論今月号に「役立たずの日韓議連」として掲載された、現役記者としては当代最高の一人である阿比留瑠偉氏の論文からである。
韓国という異質であまり価値観を共有していない国に対し、どう向き合うか。
かつては同じ西側自由主義圈の一つである隣国として重要視してきたが、実際はそうではないと分かった今、どう扱うべきなのか。
日本国民の意思は、すでに固まっていると言えよう。
政府が韓国向け半導体材料の輸出管理を強化したことについて、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が7月14、15両日に実施した合同世論調査では、「支持する」との回答が70.7%に上り、「支持しない」は14.9%にとどまった。
また、韓国は信頼できる国だと思うかについては「思わない」がほぼ4分の3である74.7%に達し、「思う」は12.1%しかいなかった。
この間、朝日新聞、毎日新聞、日経新聞という大手紙やNHK、民放キー局といった大手テレビ局が政府対応を批判し、韓国にもっと宥和的に振る舞うよう求めてきたが、国民の胸には響かなかったようである。
おそらく「今さら何を言っているのか」とあきれられていたのだろう。
韓国は、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」をうたった日韓合意を反故にし、ソウルの在韓日本大使館前の慰安婦像を撤去しないだけでなく、10億円を受け取っておきながら慰安婦財団を解散した。
旧朝鮮半島出身労働者訴訟(いわゆる元徴用工訴訟)では、日韓基本条約とそれに基づく日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」の問題を蒸し返し、国際法を無視して日本企業に損害賠償を求めてきた。
元徴用工は恵まれた待遇にあったにもかかわらず、あくまで被害者面をしてのことである。
その間も、日本の自衛艦旗(旭日旗)を根拠なく「戦犯旗」と侮辱して排除を要求し、天皇陛下(現上皇陛下)に理不尽な謝罪を求め、あまつさえ自衛隊哨戒機に危険なレーダー照射を行い、非を認めることもしない。
とどまるところを知らない韓国の嫌がらせや「反日無罪」と言わんばかりの甘えた言動に、もはや国民の大半が韓国を優遇する理由はないと考え、韓国はパートナーたり得ない存在だと判断するに至った。
韓国は、約束や信義を大切にするかどうか、国際条約や協定を遵守するかどうかで、決定的に日本とは行動基準が異なる相いれない国である。
そのことが、広く浸透した結果だといえよう。
日本政府の現在の考え方は、外務事務次官経験者の次の言葉が端的に表している。
「もういい加減、日帝36年とか、そういうのは断ち切らないといけないと考えている。
我々は、今と未来のことには責任を持つが、戦後70年以上も経つのに、そんな1910年の話(日韓併合)には、もうつきあっていられないと思っている」
西側自由主義圏への裏切り
ところが、政界反応を見ると、国民意識と大きく乖離している点は左派マスコミと大差ない。
7月14日のNHK番組では、立憲民主党の福山哲郎幹事長が政府の措假を批判して、こう主張していた。
「政治的問題に通商的な対抗措置を取ったと国際社会から見られるのは国益上マイナスだ」
これに共産党の小池晃書記局長も同調した。
「政治的紛争の解決に貿易問題を使うのは禁じ手だ」
さらに、社民党の吉川元幹事長も賛同してみせた。
「ナショナリズムを煽ることはやめるべきだ」
日本の国益を口にしているものの、言っていることはまるっきり、韓国側の主張と同しである。
しかもナショナリズムを煽っているのは韓国の方であり、日本国民は冷静で、むしろ韓国の激烈な反応に冷めた視線を送っている。
ましてや今回の措置は、いくらかは報復的要素は含まれるにしても、基本的に安全保障上の要請に基づく措置なのである。
政府高官は指摘する。
「韓国が日本から輸入してきた化学物質を、北朝鮮やイランに横流ししていた可能性はかなりある」
このまま現状を放置していれば、知らずにテロや核拡散に手を貸したことになりかねないという危機感が、措置の背景にある。
にもかかわらず、韓国側の言い分を認めるのは、西側自由主義圈への裏切りだと言っていい。
参院選で立憲民主党は、政府の輸出管理強化に国民の支持が高いことをみて、この問題で大々的に政府批判を展開することは控えたようである。
だが、いずれにしろこれまで、日韓間でもめ事が起きると、毎度のように韓国側に立つか、韓国側に理解を示すマスコミと国会議員らが現れる。
韓国側は彼らの存在に力を得て強気になり、黒を白と言いくるめて無理やり主張を通してきた。
日本側が反論しても、このように再反論するのである。
「日本の有力な新聞や国会議員も韓国の主張を認めているではないか。
日本政府の言ってることは、日本全体の意見、見解とは異なるのではないか」
これは、対中外交でも対北朝鮮外交でも同様だが、議員外交は政府の交渉を助けるどころか、その足を引っ張る事例が目立つ。
その代表的な存在が、超党派の日韓議員連盟(額賀福志郎会長・自民党)だと言えよう。
2017年5月の韓国の文在寅政権発足以降をたどっても、何の役にも立っていない。
いやむしろ、韓国にいい顔をする分、日本政府の怒りや決意が韓国側に伝わりにくくなるという逆効果を生んでいる。
そもそも日韓議連は、米ソ冷戦のまっただ中の1972年に発足した。
当初は、ソ連など東側陣営に対抗して西側陣営の結束を固める組織という性格を持ち、自民党や旧民社党議員が中心だった。
ところが、やがて目的は見失われ、日韓友好のためとして旧民主党や共産党議員も加わり、ただの親睦団体化していく。
共産党が内部に入ったことで、日韓議連と時の政権・政府との距離も広がり、いよいよ何のための団体なのか分からなくなっていった。
文政権発足の3ヵ月後、額賀氏は訪韓して文氏と会談した。
額賀氏は訪韓直前には、元徴用工訴訟について「言うべきことは言う」と豪語していたが、蓋を開けてみたら「日本で心配している国民が多い」と伝えるにとどまり、文氏からの返事ももらえなかった。
朝鮮半島事情に詳しい西岡力麗洋大客員教授が指摘するように、韓国人は「10」のことを言うときには「20」言う。
従って、日本人がいつもの遠慮と配慮で「10」のことを「5」にして言うと、実際の4分の1にしか伝わらない。
韓国人相手には、日本人の怒りと失望を倍にしてぶつけて、ようやく「ああそうか」と分かるというのに、額賀氏の言い方では何も言っていないに等しい。
日本の現状認識について誤解を与えただけではないか。
この年12月には、日本で日韓・韓日議連の合同総会が開かれたが、発表された共同声明には、慰安婦問題をめぐる日韓合意の履行を文政権に求める文言は、結局盛り込まれなかった。
総会後、日韓議連の河村建夫幹事長(自民)はその理由をこう説明した。
「韓国の政権交代による国民感情もあり、配慮しなければならないと。
両方折り合った」
日本と韓国両政府による約束よりも、一時の韓国の国民感情を優先させるべきだというのだろうか。
こんなところで配慮、妥協しているから韓国が日本は強く出れば折れると信じるのである。
誤った認識伝えた責任取れ
そんなことを続けてきたから、今回の日本政府の措置に韓国側か「いつもと違う」と当惑し、感情的に反発することになる。
韓国側に日本の真意に対する誤解と不必要な期待を広めたという意味で、日韓議連は友好親善に資するどころか関係悪化の一因となったかもしれない。
また、このときの共同声明は一方で、日本の過去の植民地支配と侵略に「痛切な反省」と「心からのお詫びの気持ち」を表明した村山談話と、根拠もないまま慰安婦募集の強制性を認めた河野談話には直接言及し、こう記した。
「日本側はこれらの歴代政権の立場を継承していくことを再確認した」
戦後70年の安倍談話がすでに村山談話を上書きし、安倍内閣が河野談話作成過程のでたらめさを検証した後だというのに、そこから後退している。
さらには、永住外国人への地方参政権付与に関しても日本側は「実現に向けて今後とも一層努力する」と記した。
共産党も含む超党派ゆえに、日本政府の立場や意向と矛盾する中身となっており、これも外交の一貫性を損なう。
この共同声明に対しては当時、産経新聞の読者サービス室に次のように厳しい声が寄せられた。
「百害あって一利なしだ」(横浜市の72歳男性)
「韓国をここまで増長させた責任はすべて日韓議連にある」(千葉市の男性)
このほか厳しいものばかりだった。
一般国民の方が、よほど問題の所在を理解している。
韓国や中国に対する過去の土下座外交、謝罪外交は無意味だったし、むしろ悪い結果を生んだということを。
ともあれ、日韓議連は2018年10月に韓国最高裁が元徴用工訴訟で、日本企業に賠償を命じる確定判決を下すと3日後に役員会を開き、額賀氏はこう語った。
「判決は日韓請求権協定違反、すなわち国際法違反であり、韓国政府に事態の是正を求めていく。
政府の外交を補完する形で良い関係を作るように努力したい」
その後、河村氏は夕刊フジのインタビューにこう述べている。
「私は合同総会で『一連の動きは理解し難い』と、韓国側に言うべきことは言う。
それが、今後の友好につながるからだ」
これを読むと、なんだ分かっているじゃないかと思うが、河村氏はインタビューでこうも語っているからやはり宥和的である。
「韓国には日本への恨み辛みが残っている。
だからといって、こちらが気にくわないと言うだけでは反日感情を煽るだけ。
韓国側の言い分も聞き、未来志向で(日韓・韓日両議連の共同声明)文言はまとめたい。
日韓関係が壊れていいことはない」
結局、同年12月の日韓議連の訪韓と文氏との会談では、日本側は韓国最高際判決について韓国側の適切な措置を求めたものの、やはりトーンは弱かった。
それどころか、『正論』2月号の当コラムでも紹介したが、共産党の志位和夫委員長が文氏をそそのかし、日本政府を代表しているわけでもないのに、日本側の考えを誤解させるようなことを言った。
こんなやりとりである。
志位氏「徴用工問題で個人の請求権は消滅していないことは日本政府も認めており、この一致点を大切にして前向きの解決を」
文氏「その立場に立てば円満な解決が図られるのではないか」
文氏が意を強くしただろうことは容易に想像できる。
しかも日韓議連は、12月14日にソウルの韓国国会内で開いた合同総会の閉会式と記者会見で、産経新聞政治部記者を閉め出すことまでした。
どこの国のやり方だろうか。
この日韓議連の訪韓にはおまけのエピソードがある。
日韓議連が韓国を訪れた13、14両日に合わせ、韓国海軍が不法占拠している竹島(島根県隠岐の島町)で防衛訓練を実施したのである。
あれだけ配慮を重ねても、韓国側にはその弱腰を軽侮、嘲笑された形である。
それも無理もない。
踏みつけても、一方的に殴っても愛想笑いを浮かべて付いてくるような相手に、敬意や親しみなど持てるはずがない。
せいぜい気味が悪いぐらいで友情など生まれようがない。
今年2月27日付の産経新聞の投書欄「談話室」に掲載された静岡県川根本町の自営業、橋本顕光氏の投書を引用する。
「日韓議連の存在が国益に資したという話は聞いたことがない。
一方的に日本側が韓国側に利用されてきただけではないか。
日本側の議連は韓国側に誤ったシグナルを送り続けてきたのではないか。
そうそうたる議員が日韓議連に参加しているが、国民に釈明する義務があるだろう。
(中略)国益のためにならない、時代遅れの日韓議連の存在を見直すときに来ているのではないだろうか」
日韓議連と韓日議連はこの9月に、日本で合同総会を開くという。
だが、無用の長物と化した日韓議連はもう解散した方がいい。

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