河野談話と朝日の「共犯関係」
2019年10月29日発信。
阿比留瑠比氏の論考をもとに、慰安婦問題をめぐる河野官房長官談話と朝日新聞の関係を検証する。
吉田清治氏の虚言、朝日の論点変更、韓国人元慰安婦16人への聞き取り調査報告書のずさんさ、そして河野氏がそれを根拠に強制性を語った問題を論じる。
2019-10-29
にもかかわらず、河野氏は、このいい加減で政府文書とも言えないような代物を読んで、「被害者でなければ語り得ない経験だ」と強調しているのだから噴飯ものである。
以下は前章の続きである。
なぜか慰安婦問題に言及なし
さて、このインタビューではなぜか全く言及されていないが、河野氏といえば、何といっても慰安婦募集の強制性を認めた平成5年8月の「河野官房長官談話」である。
証拠資料も日本側の証言者も一切ないまま強制性を認め、世界に「日本政府が公式に慰安婦強制連行を認めた」との誤解・曲解を広めたこの談話をめぐっても、朝日と河野氏は「共犯関係」にある。
とにかく何でも日本が悪かった史観を貫く朝日は、慰安婦問題でも職業的詐話師である故吉田清治氏の「朝鮮半島で女性を強制連行して慰安婦にした」という虚言を執拗に記事にし、世界に「性奴隷の国、日本」だとのイメージを広めてきた。
強制連行説に関しては、現代史家の秦郁彦氏をはじめ多くの識者から事実ではないのではないかと疑問の声が出されるようになり、朝日は守勢に立たされる。
その際に拠り所にしたのが河野氏であり、政府の公式見解としての河野談話だった。
朝日は4年1月12日付社説「歴史から目をそむけまい」では、「『挺身隊』の名で勧誘または強制連行され……」と強制連行を事実として断定していたのに、河野談話が出る5ヵ月前の5年3月20日付の社説「日本の道義が試されている」では、強制連行説の旗色が悪くなってきたため、さりげなく強制連行はあったのだろうという推測に後退させている。
そして9年3月31日付社説「歴史から目をそらすまい」では、強制連行の有無は問題ではないと論点をすり替えた。
一方で、同日の紙面には河野氏のインタビュー記事が1面に、こんな見出しで掲載されていた。
「従軍慰安婦問題 強制性の認定は正当」「93年談話巡り河野元官房長官」「証言も重視し総合判断」
また、16面には河野氏インタビューの詳報を「被害者でなければ語り得ない証言」「まず事実認め教育方法は別に議論を」との見出しで載せていた。
朝日は、河野談話を発表した河野氏の証言を用いて自己正当化を図ったわけだが、それでは肝心の河野証言の中身はどうだったか。
河野氏はインタビューで、強制連行を示す文書はなかったと認めた上で、慰安婦募集の強制性については、日本政府が聞き取り調査した韓国人の元慰安婦16人の証言が根拠となったと明らかにしてこう語っている。
「半世紀以上も前の話だから、その場所とか、状況とかに記憶違いがあるかもしれない。だからといって、1人の女性であれだけ大きな傷を残したことについて、傷そのものの記憶が間違っているとは考えられない。実際に聞き取り調査の証言を読めば、被害者でなければ語り得ない経験だとわかる。相当な強圧があったという印象が強い」
この聞き取り調査報告書を政府はプライバシー情報であることなどを理由に非開示としているが、産経新聞が25年10月に入手した。
調査対象の十六人の証言が、たったA4判13枚にまとめられたそれは、驚くほどずさんな内容だった。
証言の事実関係は曖昧で別の機会での発言との食い違いも目立つほか、氏名や生年すら不正確で、名字だけという例もあった。
朝鮮半島では重視される出身地についても、大半の13人が不明・不詳となっているほか、戦地ではなく、一般の娟館はあっても慰安所はなかった地域で働いたとの証言もあった。
この調査報告書を通読しても、軍や官憲による強制連行の証拠とただちに認められる証言はない。
「軍人に連れていかれた」と語った女性は複数いるが、当時、兵隊のような服を着ていた人は大勢おり、本当に軍人だったかは疑わしい。
にもかかわらず、河野氏は、このいい加減で政府文書とも言えないような代物を読んで、「被害者でなければ語り得ない経験だ」と強調しているのだから噴飯ものである。
この稿続く。