高山正之「忠実な犬」――朝日新聞の捏造体質と米国擁護報道の本質

2019年11月28日発信。
週刊新潮に掲載された高山正之氏の論文「忠実な犬」をもとに、朝日新聞の過去の捏造記事、浦上天主堂、永井隆博士『長崎の鐘』、マニラ大虐殺報道、GHQによる言論統制、米国の原爆投下正当化を論じる。
「百円ラーメン」記事の捏造をめぐる朝日新聞の対応を起点に、戦後日本の新聞がいかにGHQと米国の意向に従属してきたかを批判する。

2019-11-28
一部捏造どころか記事すべてがインチキだった。
朝日はどうしたか。
頬被りしてお詫びも訂正もなし。
「記者の処分もなしで、彼は今、本社に上がって核問題取材班に入り。
以下は今日発売された週刊新潮に、忠実な犬、と題して掲載された高山正之の論文からである。
この論文でも彼は戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである事を証明している。
先日の朝日新聞に「核」取材班記者の田井中某がローマ法王の来日についての解説を書いていた。
ちょっと惹かれた。
ずいぶん前に「百円ラーメンが消える」という朝日の広島県版トップ記事が話題になった。
広島大学近くに老夫婦が経営する百円ラーメン屋があった。
繁盛していた。
ところが3%の消費税が決まって材料費は値上がりし、もう百円では無理になった。
値上げしたら贔屓にしている学生さんに申し訳ないから店を閉めることにしたというお話。
竹下登の消費税が弱者の善意をもろに打ち砕いた。
タイムリーな記事だったから読者が閉じる前に行きたい、何か援助できればと反応の輪が広がった。
支局長も、いい話だ続編を書けと言った。
記者はもじもじして「実はあの記事は作りもの。
ラーメン屋の幟も自分で作って写真を撮った」と自供した。
一部捏造どころか記事すべてがインチキだった。
朝日はどうしたか。
頬被りしてお詫びも訂正もなし。
「記者の処分もなしで、彼は今、本社に上がって核問題取材班に入り、外国を飛び歩いている」と烏賀陽弘道著『朝日ともあろうものが』にあった。
もしかして件のラーメン記者かと思いつつ読んだ。
本人かどうかは分からなかったが、核廃絶に取り組む法王の訪日の意義を語る記事は、ラーメン屋報道に似たものを感じさせた。
例えば「浦上天主堂は原爆で大破した」とある。
天主堂が交通事故に遭った風に書く。
確かに被害は酷かったが、煉瓦造りの正面も外壁もほぼ残っていた。
広島の原爆ドームほどのしっかりした威容だった。
しかしキリスト教国の米国には刺激が強すぎた。
米国の強い要求で天主堂は取り壊された。
「大破」はそれを隠す狡い書き方だ。
記事は天主堂にゆかりの永井隆博士の『長崎の鐘』にも触れる。
被爆の実態が克明に綴られていたが「GHQの厳重な検閲の許で出版された。
ただ日本軍のマニラ大虐殺の報告と抱き合わせだった」と書く。
それは嘘だ。
GHQは2年も出版させなかった。
それを伏せ寧ろ好意的に出してくれた風に読ませる。
もっと問題なのは抱き合わせたマニラ大虐殺の方だ。
話の出所はGHQ。
「昭和20年2月、日本軍がマニラで女を犯しまくり、市民10万人殺した」と新聞発表して掲載させた。
これは大嘘だ。
日本軍は米軍の総攻撃を前に市内のサンドトーマス大に収容していた欧米民間人3500人を解放した。
戦火に巻き込まれないようにという日本軍らしい配慮だった。
米軍はその翌日から非白人だけになったマニラ市に徹底した砲爆撃を加え、多くの市民が死んだ。
自分で殺しておいてそれを日本軍のせいにする。
それをはっきり指摘したのはまだまともだったころの朝日だった。
GHQ発表に対し「我が軍はそんなことをしない」「証人を募って検証すべきだ」と書いた。
GHQは即座に朝日の幹部を呼びつけ廃刊を申し渡した。
ここからは邪推も入るが、GHQは「ただ今後米国の犬になるなら今回は二日の発行停止で許そう」と言った。
田井中はそれを今も忠実に守っているつもりなのだろう。
彼は長崎に原爆を落としたB29ボックスカーを訪ねてオハイオ州の米空軍博物館に行く。
そこに「戦争を終わらせた」いい原爆投下機だとあった。
まだ原爆投下を正当化する米国人のいることに驚いて見せるが、それは余りにナイーブだ。
米政府はボックスカーも広島原爆の投下機エノラゲイも終戦後すぐ軍から除籍し、エノラゲイの方はスミソニアン博物館に譲渡している。
さらには原爆を作ったロスアラモスとハンフォード、オークリッジの施設を国立公園に指定し、その栄誉を讃えたばかりだ。
法王がどう説教しようとその根性は治らない。
それも分からないで米国を庇う。
まだラーメン屋の嘘の方がましに見える。

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