「日米同盟プラス日中協商」という朝日テイスト満開のお花畑

2020年2月12日発信。月刊誌「Sound Argument」今月号の「メディア裏通信簿」を紹介し、朝日新聞の年末年始社説や「日米安保の現在地」企画を通じて、憲法改正や防衛力強化という具体論を避けたまま、外交努力や日中協商を唱える朝日新聞の非現実性を批判する。

2020-02-12
五百旗頭氏が唯一言っているのが「日米同盟プラス日中協商」ですって…おお! それは朝日テイスト満開のお花畑だなあ。
以下は月刊誌「正論」今月号の「メディア裏通信簿」からである。
前文省略。
「迷える朝日」か「学ばぬ朝日」か
教授
年末年始の朝日の社説もみておきましょう。
12月28日付朝刊「中東海域へ自衛隊 海外派遣 なし崩しの危うさ」ですが「この問題に軍事的な解決はない。
関係国とともに外交努力を徹底することこそ、日本が選ぶべき道である」といっています。
編集者
おめでたいですね。
教授
世界に何か起きようが九条を守れ、といっているに等しい。
「九条教」ですよ。
朝日は「日米安保の現在地」という企画を始めました。
国際情勢が激変し、日米同盟は必ずしも盤石とはいえない。
中国という存在が加わって、混沌さや不穏さが増すなかで、日本のあるべき姿を考えるというもので、元防衛大学校校長の五百旗頭眞氏や同志社大教授の村田晃嗣氏といった今までの朝日にはない論者も起用したりしているのです。
編集者
そういう状況のなかで日米同盟は維持できるのか、と投げかける話なんでしょう。
当然、じゃあ日本はどうするのか、とか、他の選択肢は何か、となって然るべき話なのですが、憲法改正の話が全く出てこないんですよ、これ。
教授
本来はそんな大変な状況だというなら、日本も自立して対処できるとか、国を守れる方向にすべきだと思うのですが、そこは綺麗にカットされている。
憲法改正という視点は欠如。
今の憲法のままで、じゃどうするんだ、という問いに対する具体的な回答が何もないわけです。
五百旗頭氏が唯一言っているのが「日米同盟プラス日中協商」ですって。
編集者
おお! それは朝日テイスト満開のお花畑だなあ。
教授
「日米同盟プラス日中協商」が基本で「軍事的には侮れない拒否力を持つことが大事だ」というんですね、五百旗頭氏は。
編集者
侮れない拒否力?
じゃ具体的にどうするってこと?
防衛力増強?
憲法改正?
教授
その説明は何もないのです。
先生
さっき教授が指摘した社説もそうだ。
〈派遣の根拠は、防衛省設置法4条にある「調査・研究」だ…しかし、4条は防衛省の所掌事務を列挙した規定に過ぎない。
「調査・研究」は主に、平時における日本周辺での警戒監視に適用されている。
日本をはるか離れ、しかも緊張下にある中東への、長期的な部隊派遣の根拠とするのは、明らかな拡大解釈だ〉とあっておれもこの通りと思うのだが、教授が言う通り、この社説は「じゃどうするんだよ」ということへの答えがどこにもないってことだよ。
警戒監視に根拠規定がないってことの方が遥かに問題だろうが。
中東への自衛隊派遣をなし崩しと批判するけど、なし崩しはこの4条から始まっているのさ。
批判するならそこを批判しろよ、朝日は。
教授
先生の方向での批判は理解しますが、朝日の社説はそうじゃないですよ。
だって〈緊張緩和のため一定の役割を果たす必要はあるだろう。
だが、それが自衛隊の派遣なのか〉と言っているんですから。
先生
ついでに言っておくと五百旗頭の「侮れない拒否力」だけどな。
専門用語でいうと拒否的抑止と懲罰的抑止とあって両者は全然違う概念なんだ。
例えば弾道ミサイルが飛んできたとする。
これを迎撃するのは拒否的抑止。
対して敵の攻撃拠点を叩くのは懲罰的抑止となる。
五百旗頭は前者には賛成の立場だが、後者はバツさ。
「半沢直樹」のような「やられたらやり返す!倍返し」は認めてない。
だからこの朝日が書いた「侮れない拒否力」っていう言葉は、敵地攻撃などダメですよ、と暗に言っているんだ。
編集者
朝日としては五百旗頭氏を使えば今の時流には乗れる。
今の現実から目を逸らし、空疎な議論ばかりしている、といった批判はかわせますよね。
一応、現実を見て「守るために備える」ことは否定してませんからね。
でも本音は、自衛隊をいかに縛るか、ということばかり相変わらず考えているってわけですね。
教授
これからどんな連載になるのかわかりませんが「日本は自国の安全をどう守り、国際社会でどのような役割を果たすべきか」と書いてあるんですから、肝心の自国の安全をどう守るか、ということは具体的に書くべきでしょう。
編集者
「迷える朝日」か、それとも「学ばない朝日」か?
どっちにしろ、是非、これから建設的で具体的に書いてほしいものですね。

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