櫻井よしこが喝破した武漢ウイルスの本質――中国共産党の情報隠蔽と日本の覚悟

櫻井よしこ氏は、新型コロナウイルス問題が中国共産党の本質を明らかにしたと指摘する。中国政府の情報は基本的に疑わしく、経済維持のために感染リスクを押して労働者を都市へ戻す姿勢は棄民政策に等しい。日本は政府批判に終始するのではなく、国民全体で感染拡大を防ぎ、中国の宣伝工作に対抗し、米国と共に自由と民主主義の価値観を守らなければならない。

2020-03-02
櫻井よしこが喝破した武漢ウイルスの本質――中国共産党の情報隠蔽と日本の覚悟
以下は今日の産経新聞のフロントページに、「疑わしい習政権の情報」と題して掲載された櫻井よしこさんの連載コラムからである。
まともな日本国民で、櫻井よしこさんが最澄が定義した「国宝」であることを疑う者は一人としていない。
文中強調は私。
「率直に言って政府の力だけでこの戦いに勝利を収めることはできない」
「国民の皆さんの協力が必要です」
二月二十九日、安倍晋三首相は、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大の回避に、今後一、二週間が山場と見て、国民に訴えた。
政府対応を不完全だと批判するより、いまは日本国民全体、中央政府も地方自治体も一致協力して、ウイルスに打ち勝つときだ。
そのためにも、中国湖北省武漢市で発生した「武漢ウイルス」の問題が明らかにした、中国共産党の特質を認識することが欠かせない。
特質の第一は、中国政府の情報は基本的に虚偽だという点だ。
中国が「武漢ウイルス」を制圧しつつあるという情報が流布される一方で、韓国や欧州諸国では感染者が爆発的に増え、米国疾病対策センター、CDCは二月二十五日、世界的大流行に陥る危険性を警告した。
そうした中、大半の国民が医療の恩恵にあずかれない中国が、如何にして「武漢ウイルス」を克服できたのか。
摩訶不思議だ。
湖北省を除く中国全土で、二月十七日以降、新規感染者は美しい減少カーブを描いている。
湖北省の次にウイルスの感染者が多いのが広東省だそうだが、同省の深圳市や上海市では、十八日、新規感染者がゼロになったそうだ。
感染拡大が抑えられたとされる深圳や広州を抱える人口約一・一億人の広東省には、二月中旬以降、中国政府の手配する無料の列車などで農民工が生産現場に戻されている。
ヒトヒト感染で感染爆発が起きるはずだが、前述のように、新規感染はゼロなどの情報が宣伝されるばかりだ。
感染拡大の危険を冒しても、強制的に労働者を大都市に戻す理由は、生産再開に踏み切らなければ、中小企業の倒産が始まり、数億人が失業するからだ。
中国国家統計局は、二月の製造業購買担当者景気指数、PMIが、市場予想を大きく下回る三五・七だったと発表した。
リーマンショックより深刻な状況だ。
経済減速で政権は倒れる。
政権維持には、何が何でも経済の活性化だ。
この大命題の前で、ウイルス蔓延も正当化するのが習近平政権であろう。
中国共産党の価値観を知悉する産経新聞の矢板明夫外信部次長は、習氏の決断を究極の棄民政策だと喝破した。
職場復帰した五百万人から一千万人の農民工は、「武漢ウイルス」感染の危険の中で集団で働く。
ウイルスの致死率は最大限二%とみられており、仮に全員が感染すれば、死亡者は十万人から二十万人に上る。
だが、中国政府はウイルス検査など金輪際しない。
犠牲者が出ても、「武漢ウイルス」には結びつかない。
外国メディアも取材できないため、農民工の犠牲は隠蔽できるし、そうするのが中国共産党の特質だ。
矢板氏の指摘は恐らく間違いないだろう。
中国は、黒を白と言いくるめる手法でウイルス制圧に成功したと主張するのみならず、今や、日本の方が問題だというイメージ作りも始めている。
この中国共産党の策略どおりに動いているのが、福山哲郎を始めとした立憲民主党の政治屋達であり、朝日新聞やNHKなどのメディアである事は、今や明白だろう。
山東省威海市は二月二十五日、日本と韓国からの入国者全員を十四日間隔離する措置を打ち出した。
二十八日に来日した楊潔篪共産党政治局員は、「ウイルスとの戦いで、引き続き中国政府は日本政府を支持・支援する」と語り、在京中国大使館のホームページでは、中国が日本にマスクなどを支援中との情報が紹介されている。
「中国を助ける日本」が、「中国に助けられる日本」に暗転しているではないか。
闇の中から生まれてくるような中国の宣伝工作とは対照的に、日本側の対応は甘い。
湖北省と浙江省を除く中国からの旅行者の入国を許しているのが、その一例だ。
外務省は、現在中国人は事実上来日していない、中国全土に入国制限をかける必要はないと説明するが、事実ではない。
二月二十七日の衆院予算委員会で、法務省は、中国本土からの入国者は直近の一週間では一日当たり一千人を下回ったと報告した。
減ったとはいえ、日々約一千人が日本を訪れているということだ。
中国側は日本人入国者に感染チェックをし、拘束期間を設けているが、日本側は中国人入国者を緩い基準で入れている。
これは医療衛生上、不合理極まる。
安倍晋三首相は、「武漢ウイルス」克服のために国民全員に協力を求めた。
だが、国民の共感と納得を得るためにも、中国全土からの入国禁止を、今からでもよい、打ち出すべきだ。
また中国が、日本の方こそ「武漢ウイルス」の発生源だというかのような印象を創り出しつつある点について、日本側の情報を発信して、明確に否定せよ。
隣国との友好を大切にすることと、嘘と捏造を許すことは異なる。
「武漢ウイルス」は、日中二国間関係を超えて、中国という国の宿命を抉り出している。
十四世紀に成立した明王朝も、その跡を襲い史上最大の版図を獲得した清王朝も、天然痘やペストの大流行をきっかけに崩壊した。
これから必ず起きるであろう権力闘争を、習氏が無事に乗り切れるという保証はあるだろうか。
習氏は米国とも戦わなければならない。
米国には米国の問題があるが、その力は絶大だ。
杏林大学名誉教授の田久保忠衛氏は、人口とエネルギーの二点において、米国の力の傑出ぶりを強調する。
すでに中国経済はどん底近くにある。
さらに少子高齢化に悩み、エネルギーの自給に程遠い中国とは対照的に、米国は恵まれた基礎体力を有している。
隣国で、最大の貿易相手国としての中国の重要性は軽視できず、その力も侮れない。
それでも日本は、米国の側にしか立ち得ない。
安倍政権は、中国に日米離反の隙を与えず、基本的価値観を共有する米国とともに、中国的価値観を退けていく立場を明らかにするのがよい。
そのような道を決然と歩む国になるために、首相は何としてでも憲法改正を成し遂げるときだ。
櫻井よしこさんのこの論説は、今日の日本国民全員が読むべきものである。
新型コロナウイルスの問題は、単なる感染症対策の問題ではない。
それは、中国共産党という独裁体制が、情報をどう扱い、人民をどう扱い、周辺国をどう利用し、世界に対してどのような宣伝工作を行うかを、白日の下にさらした問題である。
日本国民は、いま、政府対応を不完全だと批判している場合ではない。
もちろん、政府に足りない点があれば正すべきである。
しかし、いま必要なのは、中央政府、地方自治体、医療関係者、企業、学校、そして国民一人一人が一致協力して、感染拡大を防ぐことなのである。
その時に、朝日新聞やNHK等のメディアが、相も変わらず政権批判の材料としてこの問題を利用するなら、それは国民の生命を守る報道ではない。
中国共産党の宣伝工作を補完する報道である。
日本は目を覚まさなければならない。
中国が作り出す嘘と捏造を、友好の名の下に許してはならない。
日本は、米国とともに、自由、民主主義、法の支配という基本的価値観の側に立たなければならない。
そして、その道を歩むためには、何よりもまず、自分の国を自分で守れる国家になることが必要である。
だからこそ、憲法改正は避けて通れないのである。

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