久兵衛の名を無責任に利用した国会質問――阿比留瑠比が暴く野党追及の虚構
月刊誌「正論」に掲載された阿比留瑠比氏の論文をもとに、「桜を見る会」前夜祭をめぐる国会追及の問題点を検証する。立憲民主党の黒岩宇洋氏が、高級寿司店「久兵衛」の名を挙げて疑惑を拡散したにもかかわらず、当事者確認を怠り、後に発言を曖昧にした経緯を批判する。
2020-03-03
久兵衛の名を無責任に利用した国会質問――阿比留瑠比が暴く野党追及の虚構
以下は前章の続きである。
久兵衛の立場などお構いなし。
二月四日の衆院予算委員会では、立憲民主党の黒岩宇洋氏と安倍首相の間で、こんなやりとりもあった。
やはり「桜を見る会」の問題をめぐって、安倍首相が質疑中に秘書官と相談したことに、黒岩氏が「ちょっと、そこ話さない」と声を荒らげた。
そこで安倍首相が、こう戒めたのである。
「秘書官は答弁のアドバイスをすることはある。正確に誠実に答弁しようとしているのに対し、怒鳴るというのは人間としてどうなのか。居丈高におっしゃるのはやめたほうがいい」
このときは、黒岩氏が以前、ホテルニューオータニで開かれた桜を見る会の前夜祭で、高級寿司店「久兵衛」の寿司が参加者に提供されたと発言した問題についても、安倍首相は反論した。
「寿司の話の時も決めつけをしたが、真っ赤なうそだったではないか」
一方、黒岩氏は、「私は断言してどこどこの寿司が出たと一言も言っていない」と反論した。
だが、今やインターネットの時代である。
あっという間に、黒岩氏が昨年十一月の総理主催「桜を見る会」追及チームの会合で、次のように述べていたことが検証された。
要するに黒岩氏は、さまざまな証言から、前日に後援会の人々が都内の一流ホテルに集まり、会費五千円で、それ以上の、写真で見る限り寿司屋の久兵衛の寿司が出たとか、とても五千円では賄いきれないことが行われている、これが事実なら完全な差額供与であり、公職選挙法違反だ、という趣旨の発言をしていたのである。
実は阿比留氏は、この久兵衛の寿司が提供されたという噂話が出て、テレビのワイドショーなどで裏も取らずに流された際に、久兵衛の主人である今田洋輔氏に電話で確かめた。
今田氏は、はっきりと否定した。
ニューオータニの支店にも確認したが、久兵衛の寿司は出していない。
絶対に間違いだ。
テレビで映像を見た時は自分も驚いたが、確かめたら違っていた。
過去数年間のことも調べたが、久兵衛は出していない。
自分も気分がよくない。
今田氏は、そう明確に語ったのである。
黒岩氏は、久兵衛に確かめることすらせずに、その名を出して世に広めた。
そして、それを安倍首相に指摘されると、「言っていない」とごまかそうとしたわけである。
これは、国会質問以前の問題である。
一つの店の名誉に関わる話である。
長年にわたって築き上げてきた信用に関わる話である。
久兵衛という名を出せば、世間はすぐに飛びつく。
高級寿司店の名前は、疑惑を派手に見せるための格好の材料になる。
だからこそ、政治家がその名を使うなら、最低限、当事者に確認しなければならない。
それをせずに、疑惑の材料として使った。
テレビのワイドショーも、それを裏取りもせずに拡散した。
これが、彼らの言う「行政監視」なのか。
これが、彼らの言う「言論の府」なのか。
違う。
これは、確認を怠ったまま他者の名誉を傷つける行為である。
言葉による風評被害である。
野党が安倍政権を攻撃したい。
朝日新聞やテレビメディアがそれに乗る。
そのためなら、実在する店の名誉などどうでもいい。
そういう態度が、ここには表れている。
安倍首相が「真っ赤なうそだったではないか」と言ったのは当然である。
もし、政治家が国会で、あるいは追及チームの場で、特定の企業名や店舗名を出すなら、その責任は極めて重い。
発言が間違っていれば、相手の商売にも、信用にも、従業員にも影響する。
ましてや「公職選挙法違反」だの「差額供与」だのという話に絡めて名前を出すなら、なおさらである。
黒岩氏の態度は、国会議員として軽すぎる。
そして、それを検証せずに騒ぎ立てたメディアも、同じく軽すぎる。
日本国民は、この構造をよく見なければならない。
野党とメディアが作る疑惑の多くは、事実の積み上げではない。
印象の増幅である。
断片の誇張である。
そして、あとで事実でないと分かっても、彼らは責任を取らない。
言った。
広めた。
騒いだ。
しかし違っていた。
それでも謝らない。
それどころか、「断言していない」などと言い逃れをする。
これでは、国会は真実を明らかにする場ではなく、虚構を作る場になってしまう。
阿比留瑠比氏の論文は、この異常を正確に指摘している。
国会を荒涼とさせているのは、安倍首相ではない。
事実確認を怠り、印象操作に走り、他人の名誉を平然と巻き込む野党と、それを増幅するメディアなのである。
この稿続く。